アメリカ、サウスカロライナ州で行われているボルボ・女子オープン(WTAプレミア)
シングルス3回戦が行われ、大坂なおみ(日清食品)は第5シードのユリア・ゲルゲス(ドイツ)に6-7(4)、3-6で敗れてしまった。
昨日の2回戦ではシグムンド(ドイツ)に苦戦を強いられながらも精神的な成長を見せ16強入りを決めていた大坂。
トッププレーヤーとしての風格さえも感じさせる勝利だったが。
今日は一転、5-3とリードしていながらタイブレークで第1セットを落とすと。タオルを頭からかぶり涙をみせていた。
昨日はリードしながら追いつかれた第2セット、怒りでラケットを叩きつけそうになるが、軽く抑える。
「(そんな態度をみせた)自分にがっかりしている」とさえ言っていた大坂。大坂の成長を感じさえる素晴らしいテニスと態度だった。
しかし、今日はテニスは良かったが、気持ちがついていけず敗れてしまう。
「試合続きで(肉体的な疲れだけでなく)精神的な疲れもある、対処しないといけないが、気持ちが落ち込み、大きな波が来てしまった。」らしい。
ツアー初優勝を経験し、追う立場から追われる立場。自分は前と同じだが、回りが変わっていくのだろう。
大坂vsゲルゲス
◆第1セット
大坂のサーブで始まると、第2ゲーム、相手のサーブ40-15から4度のデュースに持ち込みブレーク、2-0とする。
第3ゲーム、大坂も40-15からデュースに持ち込まれるが、3度のデュースの末にキープし3-0と順調な序盤だ。
4-2とリードしていたが、ブレーク・バックを許し、4-3。
第8ゲーム、4-4になるかと思われたが、大坂がブレーク。5-3。
相手のゲルゲスは、やっとブレーク・バックしたのに、サーブがキープできない。
主審の発した警告に対して文句を言うなど集中力が切れそうだったが、気を晴らすことができたのか、逆に集中したようだった。
大坂はそんなやり取りに圧倒されたかのように、サービング・フォ・ザ・セットだったが、スマッシュをミスするなど、プレーの集中を欠く。
そこから6-6のタイブレークに追いつかれる。
タイブレークでも先にミニ・ブレークしていたが。
サービス・エースを決められ、タイブレークを4-7で落とした。
オンコートコーチングで大坂のもとにコーチのサーシャ・ベイジンが訪れ、
「相手は13位(格上のプレーヤー)、彼女のプレーはリスペクトして良い。
なおみのプレーは全然悪くないよ。皆知っているよ。君が素晴らしいプレーヤーなのを。持っているもの、全てを出してみよう。さぁ大きく深呼吸!みんなが君をサポートしているよ」と大坂を励ます。
大坂は涙をみせているようだった。
◆第2セット
第2ゲーム。サーブを落とし、0-2。
第3ゲーム。デュース後にドロップ・ショットを決め、ブレーク・バック、1-2。
タオルをかぶり、集中しようとする大坂。
2-3ではサーシャが出てきて、オンコートコーチング。場内の音が大きすぎて、アドバイスは聞こえないが、大坂を諭とす。
3-5。サービス・エースを決められ40-15のマッチポイント。
大坂のバックのリターンがロングで8強を逃した。
挑戦者から挑戦されるプレーヤーに
5-3まではどう見ても大坂が有利だった。
そこで怒りを主審に爆発させるなど、死んだふりをしてもどうにか相手を食おうとしたゲルゲスの貪欲さが勝負を分けた。
「ナオミは最高にホッテスト・プレーヤー、私の方がランキングは上だが、チャレンジャーとして臨む。」と言ったゲルゲス。
食うか食われるかの中で生きなくていけない厳しい勝負の世界、大坂の優しさがでてしまった試合だった。
挑戦する立場から、挑戦される立場へと変かわりつつある今の大坂なおみ。彼女は今トッププレーヤーとしての新たな悩みと戦っている。
記事:塚越亘/塚越景子 写真:ボルボ・女子オープン