ロンドン・パラリンピック、車いす男子シングルスで、史上初の2連覇を達成し見事金メダルを獲得した国枝慎吾が、9月18日に千葉県・柏駅前で行われた「国枝慎吾選手金メダル獲得おめでとう・車いすテニス競技出場選手帰国報告会」に出席した。
柏市には、国枝が練習拠点とする吉田記念研修テニスセンターがあり、車いすテニスのメッカとして知られているが、当日は約300人の柏市民が集まり、国枝を祝った。
第2シードとして出場した国枝(ITF車いすテニスランキング3位)は、決勝で、第1シードのステファン・ウデ(フランス)を6-4、6―2のストレートで下し、08年北京・パラリンピックに続いて金メダルを獲得したが、決勝直前には、あまりの緊張から食べたものをもどしていたことを告白した。
「最高の色のメダルが取れて、すごく嬉しい。プレッシャーは、相当なものがあって、決勝のコートへ入る5分前、3時間前に食べ物を吐きました。それだけつらかったが、プレッシャーに勝ったとき、泣けるような感動がありました」
国枝と約8年間タッグを組んできた丸山弘道コーチも同席し喜びを報告した。
「実は、私も国枝君の3時間前に(食べ物を)もどしていました(苦笑)。紆余曲折があってのメダルは、本当によかった」
さらに、国枝は、今年の2月に右ひじの手術をしてカムバックしていただけに、ロンドンでの優勝は喜びもひとしおだった。
「一度はあきらめかけた。よく取った金メダルでした。プロに転向してから初めてのパラリンピックでもあったので、プレッシャーはあった。4年前もラストチャンスだと思っていたが、今回も今回で、道のりは険しかった。」
2004年アテネ・パラリンピックで、齋田悟司と組んだダブルスで金メダルを獲得しているので、国枝は、単複で合わせて3大会連続で世界の頂点に立ったことになる。28歳の国枝は、4年後のリオデジャネイロのことも考え始めている。
「4年後のリオを視野に入れて活動していきます」
かつて世界王者として君臨した国枝は、けがを乗り越え、ロンドンで“史上最強の証明”を自らの力で成し遂げた。
※写真は、18日に柏駅前で行われた帰国報告会での国枝慎吾
記事・写真/神 仁司