クルム伊達公子(テニス)

クルム伊達公子(テニス)有明テニスの森で開催中の東レPPOテニスは、24日に大会2日目が行われ、日本勢ではクルム伊達公子奈良くるみが登場。いずれも格上の対戦相手に敗れ、初戦突破はならなかった。

クルム伊達にとっては、実に嫌な相手だった。この日対戦したマリオン・バルトリとは、過去3戦して3連敗中。両手打ちの強打、そして独特のリズムを持つバルトリは、カウンターと理詰めの攻めを身上とするクルム伊達のテニスと咬み合わない。

「バリトリは、相手に関係なく攻めてくる選手。私としては、トップスピンや高い球を使って崩せれば良いのだけれど、それも簡単ではない」と感じながら入った試合では、立ち上がりから5ゲーム連取を許してしまう。第1セットは1-6。35分で失った。
 
それでも第2セットに入ると、クルム伊達が展開力で揺さぶりをかける。長いラリーの中からドロップショットを沈める。あるいはフォアのスライスをダウン・ザ・ラインに押しこむ。クルム伊達の多彩なテニスが、バルトリの攻めを崩し始めていた。掴みきれていない」という不安材料が、最後の追い上げを阻んでしまった。

今シーズンはケガにも苦しめられ、5月以降は公式戦での白星がない。長いトンネルが続いているが、「半歩、そして一歩と、自分のテニスを取り戻しつつある」と、クルム伊達は顔を上げた。
  
予選を突破し本戦に上がった奈良にとっても、この日の対戦相手は、自分の持ち味を発揮し辛い選手だった。ウルシュラ・ラドワンスカは、テニス界きってのテクニシャンであるアグニエシュカ・ラドワンスカの妹。姉同様、低く滑るストロークを主体に、多彩なショットを操る業師だ。自ら仕掛けて前に出るテニスで予選を勝ち抜いてきた奈良だが、ウルシュラの低いショットではそれも難しい。

第2セットではロブを多く打ち相手のリズムを崩すことにも成功するが、同時に奈良本来の早い展開を封じることにもなる。「自分が先にミスをしてしまい、納得できるプレーができなかった」。試合後の奈良は、悔しさを隠そうとはしなかった。

それでも今大会は、予選でトップ100の選手を圧倒するなど、テニスそのものは上向き。「全米の後くらいから、やるべきことが明確になってきた。自分のテニスをやれば、トップ100にも勝てると思えるようになった」という手応えは、東京で手にした大きな財産だ。

※写真は、東レPPOテニスのシングルス1回戦で、バルトリに敗れたクルム伊達公子

東レPPOテニス

シングルス
1回戦
マリオン・バルトリ(フランス)[9] 6-1 6-4 ●クルム伊達公子

ウルシュラ・ラドワンスカ 6-2 6-4 ●奈良くるみ