10月7日(日) 楽天オープン 最終日
錦織圭が見事ジャパンオープンで優勝した。
1973年ATP(世界男子プロテニスツアー)の公式戦になって以来初の日本人プレイヤーの優勝だ。

楽天ジャパンオープン 決勝戦は男子ツアー最高のサーブを持っている男と最高のリターンをする男のガチンコ勝負となった。
最高のサーバー、ラオニッチは21歳、最高のリターナー錦織圭は22歳。
今年今日まで男子世界ツアーは58の大会が世界各地で行われたがもっとも若い者同士の決勝戦となった。

雨もやみ、コロシアムの屋根が開いた。
三階席まで観客でいっぱい。
フェデラーが初来日した時以来、有明コロシアムがこんなにいっぱいになるのは。

<決勝>
○8)錦織圭 7-6(5) 3-6 6-0 ●6)M Raonic(CAN)

錦織のサーブで期待の勝負は始まる。
ラオニッチのフォアリターンミスで始まる。
40-30から錦織はキープ。そのとたん大きな拍手が、それはそうだ皆錦織の味方なのだから。

ラオニッチのサービスだ!
いきなり時速228キロのサービスセンターエース。
会場がどよめく。錦織は見送る事しかできなかった。

ラオニッチは回り込みフォアダウンザラインアプローチで早く仕掛けていく。(30-0)
昨日世界3位を破ったマレー戦で見せた攻撃パターンだ。強敵だぞ!(40-0)
あれ?ダブルフォルトだ。(40-15)
錦織はセカンドリターン返して、バックダウンザラインウィナー。
またバックアングルパスウィナーでジュースに持ち込んだ。いきなりスーパーショット!(観客の驚くどよめきの声も大きくこだまする)

最速サーブを飛びつき返す、セカンドサーブならリターンを強くヒットする。それに動きも良い!チャンスあればネットに出る!
3回のジュース、ラオニッチのフォア逆クロス連続ミス。
リターンを全て返してくるので、ラオニッチも焦る。40-0だったのに錦織はブレーク2-0。素晴らしい!
ここまでライニッチはマレー戦で1度サービス・ゲームを破られただけだったのに、早くも錦織にサーブをブレークされた。

錦織の第3ゲーム、錦織のフォアもバックもいい。ラオニッチはどこに打ったらいいか?迷っている。
40-15、錦織はバッククロスのドロップ・ショットからフォア超アングルパスウィナー。ヨッシャー!3-0だ!
ファーストも入っているし、非常に落ち着いている。

ラオニッチの第4ゲーム、錦織のリターン・エースもあるが、ラオニッチは2つのサービス・エースでキープ。(錦織3-1)

錦織の第5ゲーム、ラオニッチのバックパスウィナー。アプローチはあえて真ん中に打っていったのだろうがパスの餌食になった。
2ポイント取り30-40、錦織の回り込みフォアのダウン・ザ・ラインがネット。ブレーク・バックされた。(錦織3-2)

ラオニッチの第6ゲーム、ファーストのスピード落としてタイミングをずらしてきた。
ラオニッチは速さだけでなく、サービスの緩急をつけられるのでキープ率が高い。
30-30から215キロのサービス・エースとバックダウンザラインウィナー。(3-3)

錦織の第7ゲーム、2人ともストローク逃げずに打っていく。
ラオニッチのフォア逆クロスは警戒が必要。後ろからネットに行こうとする。
錦織のバックアプローチからバックボレーウィナー。ボレーの当たりは悪かったが、構わない!キープ、(錦織4-3)

ラオニッチの第8ゲーム、ラオニッチの回り込みフォアダウンザライン。本当にここ狙っているのかよ!
ファーストスビンサーブ&ボレーに出てくるのを読んでバック・ダウン・ザ・ラインのリターン・エース。錦織ガッツポーズ!アドコートは時折これをやるので錦織は読んでいたのだろう。
セカンドサーブも打ってきた。
錦織のバック、ダウン・ザ・ラインのスライスアプローチは美しく、流れに乗っている。見事な錦織のポイントもあったが、ラオニックはキープ。(4-4)

ラオニックは錦織の体の真ん中を狙ったファーストサーブも打ってきた。バラエティーのあるサーブだ。

5-6、ラオニッチの第12ゲーム、217キロのサーブを返して、錦織のフォアのダウン・ザ・ライン。(0-15)

15-30からラオニッチのウィナー級を錦織は手をのばしフォアでスライススーパー返し。ラオニッチはフォア逆クロスをネット、15-40とセットポイント!
ファーストサーブを良く読みかえしたが、ラオニックがとる。
2度目のセットポイント、ラオニッチのセカンドサーブをバックでダウン・ザ・ラインを狙い攻撃したが惜しくもアウト。
145キロと抜いたサービス・エース、Tへのサービス・エース級でラオニックはキープした。2つのセットポイントあったのだが。

6-6 タイブレークだ

錦織は最初のポイントをミニブレークされた。(0-1)
ラオニッチは2ポイント連取、錦織は0-3となったしまった。ピンチ!

22回のバックコートでのラリー戦に打ち勝ち、錦織1-3。
ラオニッチ、リターンをネット(錦織2-3)

ラオニッチの225キロのボディサービス返して、ラオニッチのフォア逆クロスミスを誘う。3-3と追いついた!
大きな歓声!!

ラオニッチ、セカンドサーブをクロスに錦織のフォアのリターンはアウト。(錦織3-4)

ラオニッチはバックスライス使い、ペースを落し変えようとそうとるが、そんなの関係ねー!錦織は回り込みフォア・ダウン・ザ・ラインのウィナーを決める。
そのショットに大きなどよめき(4-4)
錦織はファーストサーブからバックに大きく振る。ラオニッチはバックを伸ばし返すがネット。(錦織5-4)

ラオニックのサーブ、錦織はフォア・ボディーへのファーストサーブをブロック・リターン、ラオニックはフォアボレーで錦織のバックへ、それを錦織はバックのアングル・スーパー・パス・ウィナー!
ガッツポーズの錦織、有明コロシアムに大歓声が!6-4とセットポイント
ラオニッチのナイス・サーブ(錦織6-5)

6-5、錦織のサーブ、6回のラリー、ラオニックのバック・ダウン・ザ・ラインはアウト!
錦織が第1セットを取った!ヨッシャー!行くぞ~!

このタイブレーク、立ち上がりはラオニッチのペース!
0-3のピンチ、でもここから取るのが錦織圭だ!
1時間(公式記録では59分)の第1セットだった。

第2セット

ラオニッチ3つのサービス・エースでキープ。

錦織のサーブ、なんと連続ダブルフォルト。ラオニッチのフォアアングルウィナー。15-40のピンチ!
錦織のバックの安定力で挽回。
少々厳しいラオニッチのアプローチもバックでアングルの足元へ送りキープ。
1-1、このキープは非常に大きい!勝てそうだ。
勝ったらジャパン・オープン地元優勝、夢みたいだ。いやいやまだまだ早いこんな事を考えてはいけない。集中して応援しなくては。

ラオニッチの第2ゲーム。錦織のフォア逆クロスドロップをラオニッチはバックダウンザラインスライスパスウィナー。
すごいレベル高い。
なんといっても錦織はここで親指立てて「ナイスショット!」とやるところがすごい!かっこいいし余裕ある。
なかなかできるもんじゃない。ラオニッチキープ(錦織1-2)

錦織の第4ゲーム、錦織のバックハンドのミスは少ない、相手にとっては全然ないと思えるだろう。
だからラオニッチはバックの打ち合いはヤバいと思い、ますます無理して打っていかなくてはいけない。(錦織キープ2-2)

ラオニッチの第5ゲーム、3つのサービス・エースで40-15、しかし、ストローク戦でジュース。
キープされたが、相手を焦らすにはいいゲームだった。(錦織2-3)

ラオニッチの第7ゲーム、錦織のバックのダウン・ザ・ライン・ウィナー。でたー!超スーパーショット。こんなコースに打てるの~!
ラオニッチはファーストのみでキープ。(錦織3-4)しかし、ラオニッチのファーストが入らなくなったら、チャンスが出てくるぞ!

錦織の第8ゲーム、30-30、ラオニッチのフォアのハードヒット・リターンエースで30-40とピンチ!
錦織のフォアがワイド、錦織はサーブをブレークされた。(錦織3-5)

ラオニッチのサービィング・フォア・ザ・セット、30-0。
錦織のバックダウンザラインパスウィナー。ダブルフォルトで30-30。
時速228キロのサービス・エース級を返して、ラオニッチのバックミスを誘う、30-40とブレーク・バックのチャンスがきた!
ここでラオニッチはサービス・エース!でジュースに。

スピンのかかったセカンドサーブでセットポイント。最後はサービス・エース級のサーブをワイドに、錦織のバックリターン返らず。

第2セットは6-3でラオニックが取り返した。

ファイナル・セット

さあ、ファイナル・セットだ!絶対に勝つぞ!

錦織の第1ゲーム、錦織得意のフォア逆クロスドロップ。多少甘いが、ラオニッチのバックミス。キープ。(1-0)

ラオニッチの第2ゲーム、ラオニッチのフォア逆クロス・アングルを錦織のバック・ダウン・ザ・ラインのウィナー。錦織うまい!
30-30から錦織はラオニッチのスピンサーブをフォアでダウン・ザ・ラインにリターン、30-40と早々とブレーク・チャンスを握る。
錦織のバックダウンザラインパスウィナー。スーパー!
ブレークだ。ヨッシャー!カモーン!ガッツポーズの錦織!(錦織2-0)

錦織の第3ゲーム、錦織はフォアのダウン・ザ・ラインでウィナーを取る。
30-0の時、ラオニッチは攻め勝ったがフォアボレーをネット。超イージーなボレーミス。これはでかいぞ~!(3-0)

ラオニッチの第4ゲーム、30-0、ラオニッチに攻められギリギリで追いついたフォアを錦織はダウン・ザ・ラインへ落とす。どういう打ち方だ?凄い!これでポイントを取った。
40-15から錦織はフォアクロスボレーからバッククロスボレーウィナー。かっこいい~!
40-30からダブルフォルト!ジュース。
ジュースで錦織のフォアダウンザラインからフォアクロスウィナー。

アドバンテージ錦織でバックダウンザラインリターンエース。
ヨッシャー!またブレーク、4-0だ!
ラオニッチの40-15からのブレーク、でかいぞ~!勝負は決まった!

錦織はバック・ボレーした後、転び、ラケットを落とした。それでも次のボールを追おうと立ちあがる錦織。手にはラケットがなかったがそれでもボールを追おうとしていた。凄い根性。
ラオニッチはそのボールをフォアで返すがアウト。またイージーなミスをしたラオニッチはコートにしゃがみ込み、考えこむ。
錦織は大丈夫か?手を痛めたりしていないか?大丈夫そうだ。

もう錦織のペース、バンバン打つ。錦織のバッククロス深い。30でキープ。ヨッシャー!(5-0) 

コートチェンジでトレーナーを呼びみてもらう!
さあ、あと1ゲーム!

ラオニッチの第6ゲーム、ラオニッチはこの試合14個目のサービス・エースを放つ。(錦織のサービス・エースは0、参考までに)
15-15、錦織はフォアクロスドロップからバックアングルパスウィナー。スーパースゲー!ショットを落ち着いて放つ錦織。
錦織のフォアダウンザラインウィナーはベースラインいっぱい。
セーフの判定にラオニッチはチャレンジする。ボールはわずかにラインにかかっている。

15-40とマッチ・ポイント 修造さんもスコアーボードの横で応援している。
日本テニスの歴史が変るぞ!

ところがラオニッチは2つのマッチ・ポイントをナイス・サーブで逃れる。2つ目のマッチ・ポイント、錦織はバックのダウン・ザ・ラインのリターン・エースを狙ったがネットだった。

錦織はバックリターンダッシュからフォアクロスのドロップ・ボレーのウィナーで3つ目マッチ・ポイントを握る。錦織のバックロブはアウト。

ファーストサーブを錦織はフォアクロス深くへ、ラオニッチはそれをアウトする。
4つ目マッチ・ポイントだ 今度こそ決めて欲しい!

ラオニッチは錦織のバックへファーストサーブを放つ、手を伸ばしバックでやっとロブを上げる錦織、
その高く上がってボールをラオニッチはフォアのドライブボレーで強打、しかしネット!

やった~!錦織圭優勝だ!
歴史的瞬間だ!
感動だぁ~!

ラオニックは錦織を祝福する。

「嬉しいっす!」
杉山愛ちゃんのインタビューに答える錦織。

ツアー2勝目を見事ジャパン・オープンで飾った。
初優勝は2008年デルレイビーチ、18歳の時だった。(18歳と1ヶ月18日)
その年はUSオープンで世界4位のフェレールを破り16強、2008年末のランキングは63位とトップ100入り、順調に成績を残した。
が2009年右肘の故障そして手術。
「またテニスができるのか?」と悩んだ時期もあったと言う。
そんな辛い時を乗り越えての優勝。

おめでとう錦織圭!

大会データー:
楽天オープン
$1,500,000 ATP Tour 500 ジャパンオープン
32ドロー
2012年10月1日(月)~ 10月7日(日)大会スケデュール
有明コロシアム及び有明テニスの森公園コート

<決勝>
○8)錦織圭 76(5) 36 60 ●6)M Raonic(CAN)

<準決勝>
○6)M Raonic(CAN) 63 67(5) 76 (4)1)A Murray(GBR)
○8)錦織圭 62 62 ●M Baghdatis(CYP)

<準々決勝>
○1)A Murray(GBR) 62 36 62 ●7)S Wawrinka(SUI)
○6)M Raonic(CAN) 67(5) 62 76(7) ●3)J Tipsarevic(SRB)
○M Baghdatis(CYP) 62 64 ●Q)D Tursunov(RUS)
○8)錦織圭 75 64 ●2)T Berdych(CZE)

<2回戦>
○1)A Murray(GBR) 61 62 ●L Lacko(SVK)
○7)S Wawrinka(SUI) 76(1) 67(6) 75 ●J Chardy(FRA)
○3)J Tipsarevic(SRB) 64 62 ●Q)M Chiudinelli(SUI)
○6)M Raonic(CAN) 3-0ret. ●V. Troicki(SRB)

Q)D Tursunov(RUS) 75 63 ●W)伊藤竜馬
○M Baghdatis(CYP) 75 16 63 ●4)J Monaco(ARG)
○8)錦織圭 57 61 60 ●T Robredo (ESP)
○2)T Berdych(CZE) 63 75 ●A Falla(COL)

<1回戦>
○8)錦織圭 4-6 6-2 6-3 ●添田豪
○W)伊藤竜馬 7-6(4) 7-6(5) ●5)N. Almagro(ESP)
7)S Wawrinka(SUI) 75 46 64 ●W)守屋宏紀
J. Chardy(FRA) 61 75 ●W)杉田祐一
本戦ドロー
本戦ドロー PDF
ダブルスドロー
予選ドロー

錦織 圭 ブログ
錦織 圭 データー 1989年12月29日生まれ 22歳

(テニスジャパン記事 森下泰&塚越亘 写真 鯉沼宣之)