添田豪(テニス)米国カリフォルニア州で開催中のBNPパリバオープンは、現地時間7日に男女1回戦を行い、添田豪はライアン・ハリソンに、0-6、6-4、3-6で敗退し2回戦進出は成らなかった。

添田の試合が始まった時、既に時計の針は夜の10時を回っていた。ただでさえ肌寒かった砂漠の一日は、日が沈むと乾いた風が吹き抜け、気温も一気に下がっていく。日中とはあらゆる面で条件が大きく異なる中、本大会初出場の添田は、センターコートで地元の人気選手と対戦するという困難な任務に立ち向かった。

そのような環境が、添田からいつもの冷静さと安定感を奪っていく。「センターコートで練習が一度もできなかったので、慣れるまでに時間がかかった。雰囲気に飲まれた部分もあったし、ボールの距離感もつかみにくかった」と言う戸惑いは、明らかなミスショットとなって表面化する。第1セットは1ゲームも奪えぬまま、僅か22分で終わった。

しかし第2セットに入ると、試合は一気に熱を帯びだす。徐々に会場の雰囲気とサーフェスにも慣れてきた添田が、最初のゲームをブレーク。続く第2セットを4度のデュースの末にキープすると以降は落ち着き、逆にハリソンは力みからかミスを量産しはじめた。第2セットは添田が奪い返し、同時に試合の流れも手中に収めたかに見えた。

実際に第3セットも、先に主導権を握ったのは添田だ。2-2からの第5ゲームではブレークポイントを手にし、苛立ちを隠せぬハリソンを突き放す好機を得た。だがここで再び添田は、彼らしからぬミスショットを重ねてしまう。3ポイント連続で落としチャンスを逃すと、続くサービスゲームの最初のポイントで、痛恨のダブルフォルト。

「あのダブルフォルトで相手に有利な状況を作り、自分は気持ちが引いてしまった。あそこがキーだった……」

そう振り返るダブルフォルトを機に、試合の流れは一気にハリソンに傾く。最後は添田のスマッシュが大きくラインを超え、日付変更線を超える深夜の激闘に終止符が打たれた。

これで今年に入り、添田の初戦負けは4大会目。昨年ランキングを大きく上げたため、今年は主戦場をATPツアーに移したが、大会のレベルが上がったことにより惜敗の苦しみも多く味わっている。

「結果が出ないと自信も生まれない。今は……苦しい時期ですね」

伏し目がちに、絞りだすように苦しい胸の内を明かす添田。失いかけた勝利の感触と自信をつかむべく、来週はダラスのチャレンジャーに出場し、そこから、強豪集うマイアミのマスターズに乗り込む。

※写真は、BNPパリバオープンの男子シングルス1回戦でライアン・ハリソンにフルセットの末惜敗した添田豪
Photo by Hiroshi sato