米国カリフォルニア州で開催中のBNPパリバオープンは現地時間8日に男子1回戦を行い、同大会初出場の伊藤竜馬はエフゲニー・ドンスコイに、2-6、1-6で敗退。2回戦進出はならなかった。
伊藤の武器であるサービスが、この日は逆に弱点となった。電光掲示板に表示されるスピードは、100マイル(約160キロ)前後しか出ていない。「サービスの練習は、(一カ月前の)ロッテルダム大会以降やっていない。この大会の会場に入り、数日前に初めて打った」のでは、それも止む得ないだろう。今年1月に痛めた腹筋は全快にはほど遠く、この日のサービスも「6割程度の力」という状態だった。
もちろん伊藤本人も、サービスに頼れないことは試合前から織り込み済み。その分、最近好調のリターンで相手を崩していくシナリオを思い描いていた。実際に第2セットでは2度に渡り、0-40の大きなブレークチャンスをつかむことに成功。だがその度に、鋭いスピンを掛けた相手のサービスに、チャンスの芽を摘まれてしまう。
「外(のコート)での試合も久しぶりだったので、感覚がつかみにくかった」と明かすように、強風の難しいコンディションにも伊藤は手を焼いた。「腹筋のケガを長引かせるのが一番怖い。この大会も、会場に入ってから出るかどうか決めようと思っていた。久々に2セット戦えたのは収穫」という現状では、ケガの回復を最優先しつつ、同時に試合勘を失わないようにすることが大切になるだろう。
そのような困難な舵取りを求められる伊藤に、今季から心強い味方が付いた。新しく伊藤のコーチに就任したヤン・デウィットは、指導者として長いキャリアを持ち、過酷なATPツアーの回り方も心得ている。
「来週のダラス(チャレンジャー)に出るかどうかも、これからコーチやトレーナーと相談して決める」という手探り状態の中で、新コーチとの二人三脚の旅が始まる。
※写真は、BNPパリバオープンの男子シングルス1回戦でフゲニー・ドンスコイに、2-6、1-6で敗退した伊藤竜馬
Photo by Hiroshi sato