添田豪(テニス)ウィンブルドン予選の男子決勝と女子2回戦がロンドン郊外のローハンプトンで行われ、添田豪がボリス・パシャンスキに、6-2、6-2、6-4で勝利し、本戦出場を決めた。

試合中は常に冷静な表情を崩さぬ添田が、勝利の瞬間ばかりは感情を爆発させた。拳を握りしめた両手を力強く振りかざし、精悍な顔から会心の笑みがこぼれる。今年に入りランキングが落ちたため、6大会ぶりに出場したグランドスラムの予選。「ここで負けると、また次も予選に出るというサイクルに戻ってしまうかもしれない」と恐れる負の循環を、一発の挑戦で断ち切った。しかも場所は、幼い頃から憧れたウィンブルドンである。“テニスの聖地”にはこれまで3度立ってきたが、予選を突破して自らの手で出場権をもぎ取ったのは、今回が初めて。笑顔がはじけるのも、当然だった。

今大会の予選はここまでの2試合とも、プレーに安定感があり快勝が続いていた。その心のゆとりが、この日も良いプレーを引き出す。「サービスの感覚が凄く良かった。サービスは日によって調子が違うが、今日は良かったのでラッキーだった」と振り返るサービスで、危機を何度も切り抜けた。得意とするバックのクロスラリーを軸に、ダウンザラインでウイナーを奪う攻撃的な戦術も完遂する。第3セットのゲームカウント、3-3、そして、4-4の重要な局面では、いずれも“伝家の宝刀”バックのダウンザラインでブレークを奪う。

「自分の出来ることを、ポジティブにやることを心がけた」という言葉通り、添田豪のテニスを貫いた末の、本戦への切符の獲得だ。

女子の方では、2回戦に進んだ日本人3選手のうち、瀬間友里加、詠里花はいずれも第1セットを先取しながら逆転される悔しい敗戦。唯一奈良くるみが、サーシャ・ジョーンズを、6-3、6-3で破り予選決勝へと駒を進めた。奈良は明日、3年ぶりのウィンブルドン本戦出場をかけて、第3シードのキャロライン・ガルシアと対戦する。

※写真は、ウィンブルドン男子シングルス予選決勝をストレートで勝利し本戦出場を決めた添田豪
Photo by Hiroshi sato