国枝慎吾
ニューヨークで開催中の全米オープンは5日に男女車椅子部門を行い、男子の国枝慎吾と、女子の上地結衣が初戦に登場。国枝は6-1、6-2、上地は6-3、6-3でそれぞれ勝利を飾った。

王者・国枝の2013年全米オープンは、1万人収容可能なルイアームストロングスタジアムで行われた。コート上を滑るようにスピーディで円滑なチェアワークは、ハードコート上でこそ最も効果を発揮する。対戦相手のG・フェルナンデスは、以前にクレーで負けている。だが、ハードコートとなれば話は別。相手のサーブで始まったこの試合、国枝は第1ゲームを40-0からフォアのウイナーを連発してブレークに成功。その後もフォアで攻め立て、ミスを重ねる相手を突き放し圧勝した。
 
それでも、今大会に優勝し“年間ランキング1位”のみを目指す男は、自分のパフォーマンスに納得していない。

「いきなり大きなショーコートというのは、僕もやり辛かったけれど、相手の方がもっと緊張していた。経験がある分だけ、僕の方が有利だったけれど、テニスそのものはまだまだです」

快勝にも厳しい自己評価は、世界最強の自負ゆえだろう。

「優勝すれば年間1位になるチャンスなだけに、気合は入っています」

狭まる“国枝包囲網”を感じつつも、国枝は捲土重来を誓った。

その国枝に続く日本人が、女子車椅子から出現した。上地結衣、19歳。今年の全仏オープンからグランドスラムを周りはじめ、これが全米オープンは初出場だ。

そんな上地も、やはり最も得意とするのはハードコート。軽快に車椅子を走らせて際どいボールにも追いつき、スライスや中ロブを多用しながら相手を崩していく。「今年の5月頃から、バックのスライスが上達した」との自己評価通り、ウィニングショットもバックのストレートへのスライス。「相手が動けないと感じたので、逆にミスできないと緊張した」と見せる笑顔とともに、全米初勝利を手にした。
 
上地のことを10歳頃から知っている国枝は「ようやくここまで来てくれたなと嬉しい」と、上地の活躍に表情を綻ばせる。先駆者と、その背を追ってきた少女が、共に世界の頂点を目指す。

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※写真は、シングルス1回戦でバックハンドを放つ国枝慎吾
写真/佐藤ひろし