ニューヨークで開催中の全米オープンは7日に男子シングルス準決勝2試合を行い、第1シードのノバク・ジョコビッチが、スタニスラス・ワウリンカから苦しみながらも2-6、7-6、3-6、6-3、6-4で逆転勝利。昨年は膝のケガのため欠場したラファエル・ナダルも、リシャール・ガスケを6-4、7-6、6-2で破り2年ぶりの決勝進出を決めた。
第5セットの、第3ゲーム。このゲーム12回目のデュースが訪れた時、2万人に迫るセンターコートの観客たちはスタンディングオベーションで、コートで戦う2人の戦士を称えた。通常、試合中にスタンディングオベーションが起こることは稀。それが第5セットのゲームカウント1-1となれば、なおのことだ。期せずして沸き起こった異例の興奮状態は、この試合の熱とクオリティの高さを反映していた。
最終的に4時間9分、総ゲーム数49を要した熱戦の大部分で試合を支配していたのは、これがグランドスラム初の準決勝のワウリンカだった。
「試合の立ち上がりは、ナーバスだった」と世界1位が認める中、ワウリンカはアンディ・マリーを破った時同様に強烈なバックを左右に打ち分け、ネットで仕留めて主導権をつかむ。逆にジョコビッチはリズムを乱され、苛立ちを募らせる一方だった。
「試合の多くの場面で相手の方が良いプレーをした」 ジョコビッチはワウリンカの好プレーを讃え、同時にこうも続けた。「集中力を切らさず、とにかく食らいつき、勝つチャンスは来ると信じ続けた」
この集中力と自信こそが、彼を4年連続で決勝に導いた原動力だ。第1セットを奪われ、第2セットもリードされるも、終盤で追いつきタイブレークで奪い返す。
そうしている内に、主導権を握っていたワウリンカの身体が、先に悲鳴を上げ始めた。「とても疲れていた。でもその疲労は、ノバクのプレーに強いられたものだった」
相手にプレー面で遅れをとっても、他の面で補い勝機を見つけ出す。ジョコビッチが王者の王者たる所以を示し、4年連続で全米進出を決めた。
苦戦を強いられたジョコビッチと対照的に、ナダルは好調ガスケ相手に盤石の勝利。第2セットではややミスも目立ったが、このセットをタイブレークで取り切ると、第3セットは一気に突き放した。
ジョコビッチ対ナダルの全米頂上決戦は、2010年、2011年に続き3回目。勝ち星は、それぞれ1勝1敗と分けあっている。
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※写真は、フルセットの接戦を制し決勝進出を決めたジョコビッチ
写真/佐藤ひろし