ニューヨークで開催中の全米オープンは8日に女子シングル決勝を行い、第1シードのセリーナ・ウィリアムズが、第2シードのビクトリア・アザレンカを7-5、6-7、6-1で破り、同大会の連覇を達成。通算獲得グランドスラム数も17とした。

セリーナがアザレンカのゲームをブレークし決勝戦が幕を開けた時、会場に詰めかけた2万人を超えるファンは一方的な展開も覚悟したかもしれない。セリーナの今大会の失セットは0。6試合で落としたゲーム数は僅か10。例え相手が世界2位のアザレンカと言えど、セリーナの圧勝を予感するのに無理は無かった。

だがそんな雰囲気を、アザレンカは直ぐさま払拭する。続くセリーナのサービスゲームで、強烈なリターンを連発しブレークバック。その後は緊迫の接戦が展開されたが、ゲームカウント5-5からセリーナが抜け出し、第1セットは前年女王が手中に収めた。

第2セットに入ると、競り負けた痛手が尾を引いたか、アザレンカのプレーに乱れが生じる。第4ゲームではダブルフォルトを3本犯しブレークを献上。その間にセリーナは4-1とリードし、栄冠まで2ゲームへと迫った。

だがここから、アザレンカが反撃に出る。優勝を目前にし、百戦錬磨の32歳と言えど硬くなったのだろうか。ボールが僅かにラインに触れる相手の際どいショットや、エース級のサーブを打った際にフットフォルトを取られる不運も女王の心を掻き乱す。第2セットはタイブレークの末に、アザレンカが逆襲で奪い返した。

迎えた第3セットは、セリーナのダブルフォルトで幕を開ける。明らかに、第2セットの悪夢を払拭しきれていない女王。だがこの時にセリーナを救ったのは、ファミリーボックスに座る姉・ビーナスの存在だったという。

「私は簡単に気持ちが落ち込み、ネガティブになりやすいの。でもどういう訳か、どんなに周りが騒がしくてもビーナスの声だけは私の耳に届く。彼女は常に凄くポジティブで、それが私を励ましたくれた」

姉の存在にも勇気を得て、セリーナは再び集中力を取り戻す。終盤になるほどサーブのスピードも上がり、最後は精神的に疲れの見えるアザレンカを突き放した。

「今季は好調だったけれど、グランドスラムでの成績には満足していなかった。だからこのタイトルは、どうしても欲しかったのよ」

初めて四大大会で優勝したのは、17歳の時のこの大会。それから14年の間にトロフィーの数は17に伸びたが、女王には、それで満足する気配はない。

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※写真は、女子シングルスで優勝したセリーナ(右)と準優勝のアザレンカ
写真/佐藤ひろし