錦織圭が全米室内選手権決勝でクロアチアのI・カルロビッチを6-4,7-6(7-0)のストレートで破り全米室内選手権に優勝した。2連覇、ツアー優勝4回目の快挙だ。
その詳細をフォトストリーでお届けしよう。

「なんとなんと優勝しました!!!」
錦織圭のブログは嬉しそうなこの文章で始まる。

実は錦織、昨年優勝している大会ではあるが、エントリーしていなかった。
なぜなら、2週間前、有明で行われたデ杯ワールドグループ1回戦、日本対カナダ戦を戦うので、この大会は出場予定から外していたのだ。中途半端な気持ちではラオニッチなどトップ10、トップ20代の二人の強敵がいるカナダには勝てない。
錦織はNO.1プレーヤーとしてデ杯に賭けていたのだ。

2012年日本はワールドグループ1回戦でクロアチアと戦った。
第1試合で添田豪が2セットダウンから挽回、なんとクロアチアのNO.1を破る。
日本のエース、錦織に期待がかかる。
錦織はその前週の全豪オープン8強。トップ10のソンガにも勝っている。その実績に期待がかかる。錦織が2勝すれば、日本は8強だ。1981年に現在の16カ国によるワールドグループ制になって以来初の準々決勝進出の快挙のはずだった。
ところが錦織はカルロビッチに
4-6,4-6,3-6で負けた。しかも一度もブレーク・チャンスを掴めずに。

そんな悔しい思いをしたデ杯なので、デ杯に100パーセントかけるために全米室内選手権はエントリーしなかったのだ。
カナダのトップ2は怪我で不出場、錦織は単複3連勝を成し遂げ日本を8強に導いた。シングスルはストレート勝利、ダブルスは1セット落とすが体はそれ程消耗していない。
テニスの調子も良く、まだまだ元気に動ける、そこで全米室内にワイルドカードで急遽出場を決めた。

そしてなんと言う運命の巡り合わせか、
2年前、デ杯で悔しい思いをしたカルロビッチとこの全米室内決勝で対戦する事となったのだ。

錦織圭の2連覇をガオラは急遽生放送した。
昔、解説など手伝っていたのでガオラの担当者に聞くと、これからも錦織圭がATP250の大会でも活躍するば、決勝は生放送を予定しているそうだ。ガオラありがとう!

テニスクラシックではこの「全米室内選手権2連覇」(p83)と今年から錦織をサポートする「マイケル・チャンX錦織圭」の原稿(p64)が出る。(3月4日発売予定、買ってね!)

優勝した全米室内データー:
U.S. National Indoor Tennis Championships
ツアーカテゴリー:$650,000 ATPTour250 Memphis
会場:Racquet Club of Memphis
期間:2/10-2/16,2014

「決勝は正直、全然楽しくない試合でした。
というのもラリーがほとんどあらず、どっちかというと苦手にしてるタイプの選手なのです。」
「1ゲームに平均2,3本はエースとられます。
ブレークポイントは全部で9本ありましたが取ったのは1つです。」と錦織はブログの中でつぶやいている。ストレート勝利ではあったが、ペースがつかめず戦うのが大変だった。
以下全米室内選手権決勝の詳細:

<決勝>
〇1)錦織 圭 64 76(0) ●I.Karlovic(CRO)

カルロビッチのサーブで始まる。
サービス・エース2本、ゲーム・ポイントはサーブ&ボレー、ラブでキープする。

1-1、錦織はフォアにきたセカンド・サーブをダウン・ザ・ラインに決め、30-40とブレーク・ポイントを握ったが取れない。
2本目のブレーク・ポイント、Tへきたサーブを返しカルロビッチにボレーさせ、続くボールをフォアでダウン・ザ・ラインに決め早々とブレークに成功、2-1とする。
「出だしの1-1でブレークできたのがこの試合のカギでしたね。」と錦織。(この試合、錦織には合計9回ブレーク・チャンスがあったが、この1ブレークだけだった。)

錦織は自分のサービスゲームでは1ポイントも落とさずキープを続ける。
4-3、30-0からのダブルフォルトが初の落としたポイントだった。
そこから3ポイント連続で失い30-40。
2度目のデュース、2度目のブレーク・ポイントはカルロビッチのリターンミスに救われる。
フォアへの修造サーブでアドバンテージ・サーバー、
カルロビッチのリターンミスで、このゲームは苦しむがしっかりとキープ、5-3。

錦織5-4、サービング・フォ・ザ・セット、30-30、
スマッシュからローボレを見事に決めセットポイント

最初のセットポイント、錦織のバックのダウン・ザ・ラインはネット。
2度目のセットポイント、カルロビッチにフォアの逆クロスを決められる。
3度目のセットポイントはダブルフォルト!プレッシャーがあるのか?
4度目のセットポイント、カルロビッチのバックハンドはネット、
41分かかるが第1セットは6-4で錦織が取った。

第2セット

第2セット最初のゲーム、カルロビッチのサーブ、クロスパスを決めて15-40とブレーク・ポイントを掴んだ錦織だったが、カルロビッチは9本目のサービス・エースでキープする。

続くゲーム、錦織30でキープ、1-1。

カルロビッチのサーブ、カルロビッチのボレーミスで15-40とブレーク・チャンス、
サービス・エース連続でデュース。
1回目のデュース、ボレーがアウト、3本目のブレーク・ポイント、
12本目のサービス・エースで逃れられる。

2回目のデュース、4回目のブレーク・ポイント、
3回目のデュース、5回目のブレーク・ポイント、エース級のサーブ
4回目のデュース、エース級のサーブそしてボレーでカルロビッチはキープする。
5回ブレーク・チャンスがあったが、カルロビッチはサーブの力でキープした。(錦織1-2)

こんなにチャンスがあったのにブレークできなかった時の次のサービスキープは難しい、しかし心配無用15でキープした。2-2

錦織はラブでキープし、4-4とする。
カルロビッチもラブでキープだ。
錦織15でキープ、5-5
カルロビッチ、ラブキープ、5-6
錦織15でキープ、6-6

タイブレークに突入

フォアのダウン・ザ・ラインのパスを錦織は決め、ミニブレークのスタート、1-0。
拳を握りしめる。

3-0、カルロビッチのサーブを飛びつきフォアのリターンをクロスに返す、抜けた!4-0。
今度は読み、待ってました!とフォアのリターン・エース、5-0。

6-0でマッチポイント!
「マッチポイントはセンターにエースを打ち込もうと思いましたがなんとなくワイドサーブで決めました。」
松岡修造が得意としていたフォアへのワイドサーブ、勝手に命名した「修造サーブ」を放つ、カルロビッチは体を伸ばすが、フォアのリターンはロング!

錦織がカルロビッチにリベンジに成功、全米室内選手権2連覇を達成した。

錦織は決勝よりも初戦である2回戦、そして準々決勝で大苦戦した。
特に準々決勝は「どれだけ打っても決まらず、自分のしたいプレーができず、もがきながら勝った試合でした。
3-6,2-3相手サーブまでいっていて、中盤までなにをしてもダメだったので。」
なんと第1セットは0-5だった!記事

「準決勝のマイケル戦は先にブレークされたもののすぐブレークバックして1-3から7ゲーム連取。
この試合で調子を戻せた気がします。」
錦織圭快勝、決勝進出

「ストロークを打った後に前にいこうとする姿勢やあまい球は見逃さずに打っていくという姿勢がつくれていたと思います。。
緊張してたり、打てない時っていうのはなかなか前に入っていく自信がつくれないので。
ここでかなり自信を得ました。」

<準決勝>
〇1)錦織 圭 63 62 ●M.Russell(USA)

<準々決勝>
〇1)錦織 圭 36 63 62 ●A.BOGOMOLOV JR.(RUS)

<2回戦>
〇1)錦織 圭 64 64 ●B.BECKER(GER)
シングルスドロー

「今年のメンフィスは500から250になりました。」
「ディフェンドして優勝したのにランキングが落ちるのは寂しい気がしますが、
そんなの関係ないです!僕は優勝できて嬉しいです!
いいプレーができてればまた上がってくるはず!」

錦織はボルグ、コナーズ、マッケンロー、エドバーグ、サンプラス、アガシ、ロディックそしてコーチのチャンなどと共にチャンピオン・リストに名を刻んだ。

全米室内選手権は1976年から始まった歴史ある大会ではあるが存続は大変だ。
解決策として賞金を下げ、一緒に行われていたWTAの大会をなくし、地元のテニス愛好者の熱意で続けている。
大会の格が下がったために、錦織は優勝したにも関わらず獲得ATPポイントは下がってしまった。

1978年日本ではボルグ、コナーズ、マッケンローなどが出場、日本のテニス人気に拍車をかけた「セイコーワールドスーパーテニス」が華々しく誕生したが今はない。
年々高まる賞金総額や経費で存続ができずに消えてしまう大会がある。全米室内選手権を継続していくという熱意は素晴らしい事だ。(東レPPOも消えかけたが大会関係者の努力で今年も9月の第3週にやる。素晴らしい!)

次の時代を背負うであろうプレーヤー、錦織圭の優勝はこの大会の最高のサポートになるだろう。

錦織 圭 ブログ
錦織 圭 データー 1989年12月29日生まれ 24歳
2014年錦織圭全成績
錦織圭ITFデーター

休む間もなく優勝後、錦織はフロリダに移動、デルレイビーチ・オープンに出場、現地18日(火)には1回戦を戦い勝利しするものの、連戦の疲れからか?左腰脇腹を痛め、2回戦は2-4となった時点で途中棄権を申し入れ敗戦した。この大会は2008年錦織が18歳の時予選から出場、その厳しい予選を勝ち上がりツアー初優勝した記念の大会だったのだが。
ツアーで生きるプロ・テニス・プレーヤーの厳しい現実だ。

<2回戦>
●3)錦織 圭 2-4ret. 〇T.GABASHVILI(RUS、65位)

<1回戦>
〇3)錦織 圭 61 57 62 ●Q)E.Gastao(POR)
本戦ドロー

ちょっと原稿長すぎましたね。感想お願いします。つぶやいて下さい。

(記事 塚越 亘/CanonEosD7 TennisJapan photo Ron Angel/U.S.National Indoor Tennis)