『大正製薬 リポビタン 第45回全国選抜高校テニス大会』の団体戦が博多の森テニス競技場で開催され、３月25日（土）は男女決勝が行われた。
女子は、第5シードの四日市商が、第３シードの山陽女学園を3-2で下し、2年ぶり２度目の優勝に輝いた。
「日を追うごとに選手たちがだんだん強くなっていった」
金山敦思監督はそう言うと、誇らしげな笑顔をみせた。
決勝までの道のりは、緒戦（２回戦）こそ５−０で圧勝したが、その後は決して平坦ではなかった。
特に１年生でシングルス１の重責を担う林妃鞠は、３回戦の野田学園、準々決勝の松商学園戦で、敗退を喫していた。しかし、準決勝から試合方式が３セットマッチになると、２試合とも１セットダウンから逆転勝利を収める。
林は「１セット落としても、今の１ポイントに集中すれば、絶対に逆転できると信じて戦った」と勝因を語る。応援してくれるチームの声を受けつつも、自分の世界に入るために、ポイント前に深呼吸をし、間合いを取る。こういった行動によって、目の前のボールだけを見ることができたという。
金山監督も「林が勝利してくれたことで、チーム全体の勢いが生まれた」と彼女の成長を喜んだ。
さらに、準決勝、決勝で勝利を決めたダブルス２の加藤歌里／川出晶葉も試合を追うごとに良くなっていったと語る。
「困ったときや、プレッシャーのかかった場面で、ただ普通に打ってミスをしてしまうということが多かったのですが、落ち着いて、１本ロブを入れてみる、前へ落としてみるといったことが冷静に判断できるようになった」（金山監督）
競った時こそポーチに出る、フォアをしっかり打つ、サーブを置きにいかない。そういった指導が、この全国大会で生かされた。
キャプテンの安髙日渚莉は、「どんなときでも振り切れ、自信を持て」という金山監督の言葉に試合中勇気づけられたという。
「自分を信じて、仲間を信じて戦えた」（安髙）
優勝が決まった後、監督の元へと駆け寄る選手たち。
全員の思いとプレーが一つになり、それが全国優勝という歓喜の輪へとつながった。
【３月25日の試合結果】
■女子団体戦 決勝
◯四日市商業 ３−2 山陽女学園●
S1 林妃鞠① 1-6 6-1 6-4 上野梨咲①
D1 後藤苺衣①／安髙日渚莉② 5-7 6-3 4-6 井上佳苗②／中岡咲心②
S2 髙山揺② 4-6 4-6 井上季子①
D2 加藤歌里②／川出晶葉② 6-1 6-4 藤本麻璃花②／遠藤愛渚①
S3 折坂優羽① 6-0 6-2 清瀧海香①
【３月26日の試合予定】
9:30〜 センターコート、1,2,３コート
男女個人戦準決勝
■男子
⼭本夏⽣（相生学院）vs 川上慶槇（大分舞鶴）
武⽅駿哉（柳川）vs 本⼭知苑（四日市工）
■女子
林妃鞠（四日市商）vs ⾥菜央（相生学院）
津⽥梨央（名経大市邨）vs 上野梨咲（山陽女学園）
※準決勝終了し、休憩後、男女個人戦決勝
個人戦は団体戦出場チームのNo1選手と47都道府県推薦選手、福岡県特別枠推薦選手が出場する。団体戦出場選手は、終了次第、指定箇所に入る変則ドロー。今回は男女各12ブロックによる予選、28ドローによる本戦が行われ、優勝者にはUSオープンジュニアの予選ワイルドカードが授与される。
取材・写真／保坂明美
