ATP500「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス」が、有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コートにて9月25日~10月1日(本戦)に開催されている。26日はシングルスとダブルスの1回戦が行われた。

ワイルドカードで出場の西岡良仁は、世界ランク21位のF・オジェアリアシムと対戦。2人の対戦成績は西岡の3勝4敗で、最近は4連敗中だっただけに、難しい試合になることを覚悟して入った。

オジェアリアシムはサービスやストロークで主導権を握り、ネットで決めていく。西岡は、その形に持ち込まれないように嫌がっているバック側を狙ったり、グリップを変えて厚い当たりになったフォアハンドと得意のバックハンドでポイントにつなげた。お互いブレークされそうなゲームをどうにか耐え、タイブレークは西岡が制した。

第2セットは足のけいれんと、少し腕の痛みを感じたこともあり、無理をせず3-6で落とす。ファイナルセット5-6のゲームで相手に2本のマッチポイントがあったが、その場面で「自分から点を取りに行って」しのぎ、再びタイブレークをものにして、3時間12分におよぶ接戦を制した。

勝利の瞬間にコートに倒れ込み、その後は足のけいれんですぐには動けなかった。「タイトな試合を乗り越えたのは自分らしい」と満足しつつ、「久々に1回戦を突破したのはいいこと」と2019年以来の2回戦進出を喜んだ。

錦織圭が2018年以来となるジャパンオープンに戻ってきた。ワイルドカードでの出場で、1回戦の相手は2014年全米オープン決勝を戦ったM・チリッチだ。35歳のチリッチはヒザの手術を受け8月にチャレンジャー大会で復帰。前週に行われた杭州オープンで優勝を飾っている。

チケットが完売となった満員の有明コロシアム。チリッチは早い仕掛けで鋭いフォアハンドを打ち込んでくる。錦織は「もう少し打ちたかったけど、自信が100%でない」という状況ながら、タイミング良く返球していく。4-4のゲームで錦織がチャンスをつかんでブレークに成功し、第1セットを6-4で奪った。

第2セットは、錦織にミスが重なったところをブレークされて、3-6で落とす。セット間にコーチの元へ行き、リターンやバックハンドについてアドバイスをもらいファイナルセットへ。「徐々にテニスが上がってきたと感じました」と、ストロークに力強さが加わり、「復帰してから一番良かった」というサービスにも助けられリズム良くキープを続ける。

チリッチもファーストサービスが入ると高い確率でポイントを取るものの、錦織よりもファーストサービスの確率が低かった。ダブルフォールトを2本犯したゲームを錦織がブレークし、6-3で2回戦進出を決めた。

同年代のチリッチについて、「境遇も似ていて、大事なところで試合もしているし、長い付き合いの選手と試合をするのは不思議な感じ。年齢を重ねつつも頑張っている相手と戦えるのは意味があること」と対戦できたことを噛み締めた。

まだ「打てるかな、入るかな」という不安な気持ちがある中でプレーしているという錦織は、「こういう試合を増やしていきたいと思います」。最大の声援を受ける今大会で、少しでも多くの試合を重ねて、自信を取り戻すことが今の課題だ。

なお、他の試合では、第1シードのフリッツ、第3シードのルード、第4シードのチチパスが敗れる波乱があった。

1回戦敗退となったフリッツ。写真:鯉沼宣之

-9月26日(木)の結果-
■シングルス結果■
○西岡良仁(ミキハウス)[WC] 7-6(5) 3-6 7-6(5) ●F・オジェアリアシム(カナダ)
〇錦織圭(ユニクロ)[WC] 6-4 3-6 6-3 ●M・チリッチ(クロアチア)[PR]
○T・ポール(アメリカ)[5] 6-3 6-2 ●M・アルナルディ(イタリア)
○J・ドレーパー(イギリス) 6-4 6-2 ●M・ベルッチ(イタリア)[Q]
○T・マハツ(チェコ)6-3 6-7(5) 7-5 ●A・ポピリン(オーストラリア)
○A・ミケルセン(アメリカ)[Q] 4-6 6-1 6-2 ●S・チチパス(ギリシャ)[4]
○B・シェルトン(アメリカ)[8] 3-6 6-1 6-4 ●R・オペルカ(アメリカ)[PR]
〇B・ナカシマ(アメリカ)[SE] 7-5 6-3 ●F・ティアフォー(アメリカ)[7]
〇A・フィス(フランス) 6-4 3-6 6-3 ●T・フリッツ(アメリカ)[1]
〇C・オコネル(オーストラリア)[Q] 6-4 7-6(5) ●T・M・エチェベリ(アルゼンチン) 
〇H・ルーネ(デンマーク)[6] 6-2 5-7 6-4 ●A・タビロ(チリ) 
〇J・トンプソン(オーストラリア) 7-6(5) 6-1 ●C・ルード(ノルウェー)[3]  

■ダブルス結果■
〇A・べアール/R・ガロウェイ(ウルグアイ/アメリカ)6-3 3-6 10-5 ●A・パブラセク/J-J・ロジェール(チェコ/オランダ)
〇J・キャッシュ/L・グラスプール(イギリス/イギリス)5-7 6-3 10-5 ●M・ゴンザレス/A・モルテニ(アルゼンチン/アルゼンチン)[4]

構成:Tennis.jp 写真:鯉沼宣之