
WTA500「東レ パン パシフィック オープンテニス 2025」が、有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コートにて10月20日~10月26日(本戦)に開催されている。25日はシングルスとダブルスの準決勝各2試合が行われる予定だったが、第2シードのE・ルバキナが腰の故障のため棄権。第6シードのL・ノスコバがウォークオーバーで決勝進出となった。
もう1つの準決勝は、第5シードのB・ベンチッチと、第10シードのS・ケニンの対戦で、ベンチッチが7-6(5)、3-6、6-2のフルセットで勝利。2015年以来の東レPPO決勝進出を決めた。
ベンチッチは有明で行われた東京五輪の金メダリスト。2020年全豪オープン優勝者のケニンも有明との相性は良く、昨年はワイルドカードで出場して準優勝という結果を出している。2人の対戦成績は2勝0敗でケニンがリード。
28歳のベンチッチは前日の準々決勝で第8シードのK・ムチョバとの3時間8分に及ぶ試合を乗り越えての準決勝。対する26歳のケニンも2回戦で園部八奏と、準々決勝では第3シードのE・アレクサンドロワとフルセットを戦い、ダブルスにも出場している。2人とも疲労と戦いながら身体にテーピングをして登場した。

ケニンは角度を付けたショットでオープンコートを作り、高い打点から打ち込んで決めに行く。ベンチッチはベースラインから下がらずに早いタイミングで打ち分けていった。お互い相手を走らせるプレーをするが、この舞台に立った段階ですでに疲労が溜まっている2人は、追えないボールもあり、エースが決まっていく。
重要なポイントではギアを上げて取りにいくためキープが続き、第1セットはタイブレークへ。先にミニブレークしたのはケニンだったが、ベンチッチのサービスとバックのクロスが冴えて第1セットをものにした。
第2セットはベンチッチの集中力もが下がり、ケニンに初のブレークを許して3-6で落とす。ファイナルセットでは、ロングラリーの後にラケットを支えにして休む姿を見せるほど、疲労の色が濃くなってきていた。

ベンチッチは、「走り続けることはできないとわかっていました。(ケニンは)コースをどんどん変えてくるので、その全ては守り切れない。チャンスに絞って全力で取り行くことにしました」と、ファイナルセットの考えを明かしている。
リスクを取って勝負に出たベンチッチが、最後は得意のドライブボレーを決めて、2時間15分におよぶ試合で勝利をつかみ取った。試合後には、「日本でプレーするのが好きだし、ここで10年ぶりに決勝に出られることにワクワクしています。自分にどれだけの力が残っているのかわかりませんが全てを出し切りたいと思います」と、まずはリカバリーすることを優先させて、明日の決勝に臨む。
決勝の相手であるノスコバは20歳。準々決勝では相手が途中棄権したため35分しか試合をしておらず、準決勝はルバキナの棄権でコートに立っていない。決勝までのプレー時間はわずが2時間39分だ。ちなみにベンチッチは6時間48分。明日の決勝は対照的な状況の2人の対戦となる。

ダブルスの準決勝には昨年の今大会で優勝している青山修子が登場。昨年は穂積絵莉とのペアだったが、今回はスペインのブクサと組んでいる。ブクサが後ろでチャンスを作り、青山が前で決める形が機能していたが、青山のサービスゲームではキープに苦戦して、2-6、3-6で敗退となった。
ベスト4という結果に青山は、「WTA500の大会に出場できて、1回戦からタフな試合になると予想していたので、ここで3試合できたことはうれしいです。日本のお客さんも勝つことを期待して来てくださっているので、それに答えられなかった悔しさはありますが、たくさんのお客さんの前でプレーさせていただけて、本当に有難い気持ちです」と、悔しさと感謝の気持ちを述べた。
試合を振り返り、今後の課題について、「サービスゲームをキープすれば勝てるチャンスは広がるので、そこを強化していくことが大事だと思っています」と、37歳はさらなる成長を目指している。
明日はシングルス決勝が12時からスタートする。
-10月25日(土)の結果-
■シングルス準決勝■
〇L・ノスコバ(チェコ)[6] w.o. ●E・ルバキナ(カザフスタン)[2]
〇B・ベンチッチ(スイス)[5] 7-6(5) 3-6 6-2 ●S・ケニン(アメリカ)[10]
■ダブルス準決勝■
〇A・ダニリナ/A・クルニッチ (カザフスタン/セルビア)[3]6-2 6-3 ●青山修子/C・ブクサ (日本/スペイン)
〇T・バボシュ/L・ステファニー (ハンガリー/ブラジル)[4] 6-7(4) 6-3 10-5 ●E・ペレス/T・タウンゼント (オーストラリア/アメリカ)[1]
取材・文:赤松恵珠子 写真:伊藤功已


