全仏オープンの男子ジュニア部門が6月1日に開幕し、2日には日本勢4選手が単複に出場。中川直樹が2回戦をストレート勝ちで突破したが、山崎純平は2回戦で敗退。今年5月1日にプロに転向した大西賢は、1回戦で6-4,3-6,3-6で逆転負け。松村亮太朗と組んだダブルスでも初戦敗退となった。

プロとして初めて挑んだ、グランドスラムジュニア。ジュニアとして出場するグランドスラムも、もしかしたら最後かもしれない。それでも大西の表情に、大きな落胆の色はなかった。

「今回は、自分のテニス力を上げることを意識していた。結果よりも、正しいことをやって今後につながるプレーができたという感じはある」それが、プロ選手大西の現在地だ。

今年4月から、従来の関西を離れ、拠点を神奈川のクリエイトテニスアカデミーに移した。新しいコーチの指導のもと「戦術や組み立てを意識するようになった」という。

「今までは、あまり考えずに打つことが多かった」というが、「自分のサイズ(170㎝)では、打っているだけでは勝てない」と意識改革。テニスへの取り組み方も、大きく変わってきたと言う。

この日のシングルス戦でも、アングルやループを効果的に使い、第1セット終盤の競り合いを抜けだした。「負けはしたけれど、感覚的には悪くなかった」という言葉は本心だろう。責任あるプロの世界に足を踏み入れたが、結果への焦りはない。

「結果を求めすぎると、スコアを気にした勝つためのテニスになってしまう。ここ1~2年は結果は気にせず、テニス力を上げることが目標です」

歩む道にも、迷いはない。

写真は、今年2月の日本リーグでプレーをする大西。テニスナビ撮影。