ライバル対決を制して江原弘泰が準決勝進出

 ともに1991年生まれの23歳。誕生日は3日しか違わない。ジュニア時代から何度対戦したか覚えていないくらい多いし、遠征で同部屋だったことも数知れない。高校を卒業してプロになったのも同じ。その2人、江原弘泰(日清紡ホールディングス)と関口周一(イカイ)が全日本選手権の準々決勝で対戦することになった。

 世界ランキングで比較すると関口が460位で、江原が591位。プロになってからの対戦成績は関口の4勝2敗。全日本では関口が第6シードで江原はノーシード。「プロになってずっと先を越されている感じがあった」と江原は言う。また、だからこそ、「追いつきたい。負けたくないと言う気持ちで試合に臨んだ。勝ちたいという気持が今日は周一より強かったと思う」と6-1、6-4で勝利した試合を振り返った。

 ベースラインからの打ち合いを得意とする2人の戦いはいつも拮抗する。ファーストを6-1で先取したのは江原だったが簡単に終るはずはない。案の定、セカンドは関口が4-0とリード。「ファイナル勝負」と誰もが思ったところから江原が6ゲームを連取して関口を振り切った。江原の成長を物語る試合内容だった。

 日本にいて停滞していた江原は環境を変えることを決断。スイスに渡った。元来、粘りのテニスを持ち味としていた江原は「もっと攻撃テニスを!」とトライした。目指したのはフェデラー型のテニス。しかし結果が出ない。そこで思い直した。自分の目標としていたのはフェレール型のテニスだったのではないか? 格好良いテニスより泥臭いテニス。それが自分の目指すべきスタイル。迷いが消えた。ドイツ人のコーチからは「もっとファイトしろ!」と言われ続けた。それは望むところ。もともと江原はファイトするのが好きなプレイヤーだ。

 関口戦ではマッチポイントを握ってから2本連続でダブルフォールトを犯した。しかし、崩れなかった。その場面も含めて全日本では「95点のテニスができている」という江原。準決勝の相手は第2シードの内山靖崇(北日本物産)。過去の対戦戦績は内山の2勝0敗だがスコアは競っている。江原が内山相手のどんな戦いを見せるのか興味深い。