rafael_nadal_20101208.jpg今年のプロテニスツアーが終わり、セルビアの初優勝で盛り上がったデビスカップも終わり、世界のテニスツアーを統括するATP(Association of tennis profssionals)が、今年のリターン(レシーブ)ゲームに関するデータを発表した。このデータは、チャレンジャー大会など下部大会での記録は含まず、ツアー公式戦の本戦での記録を元に集計されている。これは昨日配信したサービス部門ランキングに相反するデータになる。
サービス部門ランキングは⇒こちら


まず、相手ファーストサービス時のポイント獲得率ランキング。相手のファーストサービスを、よりポイントに結び付けている選手は・・・
1位・・・フアンイグナシオ・チェラ(31歳、アルゼンチン)【35%、52試合】
2位・・・フアン・モナコ(26歳、アルゼンチン)【35%、49試合】
3位・・・ロジャー・フェデラー(29歳、スイス)【34%、78試合】
4位・・・ノバク・ジョコビッチ(23歳、セルビア)【34%、72試合】
5位・・・フアンカルロス・フェレーロ(30歳、スペイン)【34%、47試合】
相手のファーストサービスという不利な状況で、ポイントに結び付けるには高いリターン力が求められる。ここで上位を占めたのは南米勢。アルゼンチンのチェラ(世界ランク38位)とモナコ(同26位)が1位2位に入った。やはりストローク主体のプレーヤーがリターンゲームで力を発揮している。3位にフェデラーがランクイン、サービスだけでなくリターンでも記録を残していることから、総合力の高さが伺える。
次に、相手セカンドサービス時のポイント獲得率ランキング。相手のセカンドサービスを、よりポイントに結び付けている選手は・・・
1位・・・ラファエル・ナダル(24歳、スペイン)【55%、81試合】
2位・・・アンディ・マリー(23歳、英国)【55%、64試合】
3位・・・フアンカルロス・フェレーロ(30歳、スペイン)【55%、47試合】
4位・・・ダビド・フェレール(28歳、スペイン)【54%、81試合】
5位・・・ノバク・ジョコビッチ(23歳、セルビア)【54%、72試合】
1位はナダル。セカンドサービスになるとナダルからポイントを奪うのは困難なようだ。2位に英国期待のマリーがランクイン。今だ4大大会の優勝がないマリー、高いリターン力があるが、先日発表したサービス部門での上位ランクインは無く、今後はサービスキープ率を上げていけばビックタイトルも見えてくる。やはり、ここでもクレーコートを得意とするスペイン勢が上位を占めた。この結果、彼ら相手にファーストサービスを外してしまうのは致命的であることが証明された。
最後にリターンゲーム獲得率ランキング。今年、一番相手のサービスゲームを脅かした選手は・・・
1位・・・ノバク・ジョコビッチ(23歳、セルビア)【32%、72試合】
2位・・・フアンイグナシオ・チェラ(31歳、アルゼンチン)【32%、52試合】
3位・・・フアンカルロス・フェレーロ(30歳、スペイン)【32%、47試合】
4位・・・ダビド・フェレール(28歳、スペイン)【31%、81試合】
5位・・・アンディ・マリー(23歳、英国)【30%、64試合】
スペインやアルゼンチン勢を抑え見事1位に輝いたのは、セルビアの英雄、ジョコビッチ。約3回に1回は相手のサービスゲームをブレークしている計算になる。先日のデビスカップではエースとしてセルビアを牽引し、見事初優勝に導いた。全てのリターンランキングに名を連ねたジョコビッチ、来年以降はサービスやネットプレーなど、総合力の成長が活躍の鍵となりそうだ。
このようにリターンゲームに関するデータを見てみると、このデータが選手のディフェンス力を証明しているのがわかる。相手サービスという不利な状況で、相手に簡単に決めさせない、簡単にポイントを与えないディフェンス力を持った選手が上位を占めている。
データから選手の特徴やプレースタイル、今後の課題が見えてくるのも興味深い。テニスはあらゆる要素によって勝敗が決まる。対戦選手との相性や大事な局面でのショットの選択、体のコンディション、またプレッシャーなどの重圧による目に見えない部分の影響で勝敗が決まる。これらのデータはそんな選手たちの勝敗に関わる大事な要素の一部を垣間見せてくれる。
※写真は、楽天ジャパンオープンでのラファエル・ナダル、クリックで拡大