2日目を迎えた全仏オープン。日本の添田豪(26歳)が第12シードのミハイル・ユージニー(28歳、ロシア)と対戦したが、5-7、2-6、4-6で敗れた。
添田はこれまでワイルドカード(主催者推薦枠)やラッキールーザー(予選敗者からの繰上り)として4大大会の本戦出場の経験はあるが、ランキングを上げ、自力で出場権を得ての本戦出場は今大会が初。試合前には「最初から出場が決まった状態なので、色々なスケジュールも組みやすいし、余裕を持ってできている」と話しており、年下だが先にツアーで活躍している錦織圭(21歳)に早く追いつきたいとも話していた。
どんな選手にとっても難しいと言われる初戦。相手のユージニーは第12シードの強豪とはいえ、今季の成績は思わしくなく、この全仏へかける意気込みは相当だったようで、序盤から全力で添田に挑んで来た。お互いに硬さや力みが見える中でスタートした試合は、最初の添田のサービスゲームをユージニーがブレークに成功し、ユージニーのペースで進むことになる。だが、添田は一方的な展開を許さない。攻守にメリハリをつけて格上の相手に食らいついた。
ユージニーにすればそのまま押し切ってしまいたかったのだろうが、添田の機敏なディフェンスと、瞬時の判断で繰り出されるカウンターに手こずり、思った通りの展開にならないことにいらだちを見せる場面も多かった。
しかし、相手との経験と実績の差はいかんともしがたく、最後はパワーで押し切られた。それでも、「試合が進むごとに少しずつ相手にも慣れていっていたし、チャンスは少ししかなかったが、最後まで攻撃的に戦えていたと思う」と試合後の添田は話している。「最後まで諦めず、攻撃的にいこう」。試合中はずっと自分にそう言い聞かせていたという添田は、「このままこのレベルで経験を積んで、上位に定着したい。もう自分も若くはない。試合の内容から何かを学んでいくのは常に同じだとしても、今後はプロとして結果にこだわっていきたい。最近は運を使ってでも勝ちたいとさえ思うようになってきた」と力強く話した。どん欲さが出て来た添田の今後に期待したい。
現地レポート:浅岡隆太
写真:添田、試合後の記者会見。クリックで拡大