25日、フランスのパリで開催されている4大大会、全仏オープン(クレーコート)の男子シングルスの2回戦が行われ、世界ランク59位の錦織圭(21歳)は、第31シードで同36位のセルジ・スタホフスキ(25歳、ウクライナ)に、1-6 6-3 3-6 6-7(3-7)のセットカウント1-3で敗れ、3回戦進出はならなかった。


錦織の2回戦の相手は、ウクライナのテクニシャンで知られるスタホフスキ。彼は「ほとんどのポイントでサーブ&ボレーを仕掛けて来ると聞いていた」と話した錦織の思惑を見透かしたように、ベースラインからゲームを組み立てた。技巧派の選手というのは、単にその技術の巧拙だけで語られる存在ではなく、相手の出方を読んでそれを崩し、リズムを与えないのもまた、「技巧」の内に入る。予想を覆されて出ばなを挫かれた形になった錦織は、試合の流れを相手に渡した状態で、第1セットを1-6で失ってしまった。
第2セットは錦織も集中力を取り戻して逆襲に転じ、プレーの質を上げて6-3で一気に取り返したが、第3セットでスタホフスキがまたその戦術を変化させる。それまでのベースラインからの組み立てに、得意のネップレーを織り交ぜて、コート全面を使ったテニスに切り替えたのだ。
結果から言えば、1-6、6-3、3-6、6-7(3-7)でスタホフスキの勝利。しかし、スコア以上に両者の見せたパフォーマンスには差があった。錦織は終始、スタホフスキが書いたシナリオの上でのプレーを強いられ、その突破口を見いだせないままで試合を終えてしまった。「2セット目からは自分から相手を左右に振ったりして攻めて行けたが、相手に隙のないプレーをさせてしまった。今日は相手がうまかったと思う」と錦織は言葉にした。また、「自分のいいところを封じられた。やりずらいテニスをしてきた」とも話している。錦織もまた、パワーやスピードだけで世界の強豪を相手に戦い抜ける選手とは言えない。こうした敗戦を糧として、今後に生かしてほしいところだ。
現地レポート:浅岡隆太