真夏のオーストラリア・メルボルン。シーズン最初のグランドスラムがいよいよ開幕。大会初日(1月16日)に行われる女子シングルス1回戦では、世界ランク79位のクルム伊達公子(41歳)が同86位のギリシャのエレニ・ダニリドゥ(29歳)と対戦する。2011年は144位まで世界ランキングを落とした時期もあったが、年末に見事な活躍をみせ、80位までランキングを戻して本選ストレートインを果たしたクルム伊達。2012年も全豪直前のITFツアーで優勝するなど好調ぶりをアピールしたクルム伊達に、連日ハイビジョン生中継を行うWOWOWが現地にて独占インタビューを行った。


Q:ITFの大会で優勝して、今回は弾みをつけての全豪オープンとなりますが、どんな気持ちで臨みますか?
クルム伊達:弾みと言いたいところなんですが、現実的にITFとWTAは大きな差があると思います。ITFで試合の数をこなせたというところは自分にプラスになることの要素としてはたくさんあると思っていますが、やはりスピードだったりパワーだったりプレーの質で考えると、いざ蓋を開けてみたら全く読めないところはあるのかなと思っています。ただ、今年は思い切ってITFの5万ドルからスタートしました。昨年は、本選入りでWTAを2つこなしても、1回戦敗退でシーズンスタートの試合数をなかなかこなせないという不安を抱えながら全豪に入ってプレーしなければいけなかったので、昨年とは違う入り方で今年はやってみようかな、ということでちょっと冒険をしてみました。
Q:全豪オープンでの具体的な目標はありますか?
クルム伊達:2011年は、特に自分の中でもすごくグランドスラムにこだわって4つ戦ってきたつもりなんですが、実際はグランドスラムの厳しさにぶちあたったまま、思うようなプレーができませんでした。グランドスラムへの気持ちは誰もが強く思っていることなので、あまり自分自身で意気込みすぎないで入ろうかなと思っています。グランドスラムで、常にベストパフォーマンスや結果を思い過ぎるのはやめようかなと思っています。
もちろん強い思いは変わりませんが、戦う姿勢としてあまり気負いすぎず、グランドスラムの歴史と大きさにあまり自分自身がプレッシャーをかけ過ぎず、勝ち負けということよりも、ウィンブルドンのビーナス・ウィリアムズ戦の時のように自分のパフォーマンスを出せる状態にいることが大事なんだと、すごく強く感じました。
Q:昨年は140位台までランキングを落とした時期もありましたが、今ここまで上がってこられたことについては?
クルム伊達:全然想像できなかったですね。年末は、とにかく全豪オープンにメインドローで入れる位置までに戻すことだけが最大の目標で戦っていました。実際80位台でこの場所にこられているということは、ちょっとうまくいきすぎた結果かなと思っています。
Q:この1年、自身で一番何が変わったと感じていますか?
クルム伊達: WTAのレベルはやはり生半可なレベルではないし、そこで勝ち続けることが難しい域に入ってきているのは間違いないので、もう少し大きく自分で振り返ってみた時に、うまくITFを絡ませて常に精神状態的にも自分の自信というものをキープさせなければと考えるようになりました。当然、私の場合はパワーやスピードに常に向き合っていなければいけないので、自分の年齢やブランクも突如として表れてきますし、それに常に慣れていなければいけないという反面、自信を失ってもいけないと、昨年高いレベルで戦い続けて学びました。
ITFをうまく絡めながら、試合数をこなして、自信を自分の中で常に持ちながらやることがWTAでのいいプレーにつながるのかなということを強く感じた2011年だったので、2012年はうまくそのパターンを年間に何箇所か入れながらやっていこうかなと思っています。
Q:1回戦の相手、エレニ・ダニリドゥ選手についての印象は?
クルム伊達:ダニリドゥ選手の試合を解説したときの印象がすごく強いです。当然実力者であり、経験がある選手。今はピーク時よりランキングは落としていますが、去年くらいからまた好調を維持していますし、やはり勝負所を心得ている選手だと思います。ボールも巧くコントロールできますし、バックのスライスでも巧くコートを使ってくると思います。パワーで押される選手ではないかもしれません。自分のやるべきこととしては、サービスの確率をあげて、彼女がネットに出てくる前に、彼女にネットを取らせない戦い方が必要になってくるかなと思っています。
注目のクルム伊達の1回戦は、現地午前11時(日本時間午前9時)に行われる。
写真:AP/アフロ、クルム伊達公子、クリックで拡大