パリで開催中の全仏オープンの初戦、クルム伊達公子は2010年優勝者のフランチェスカ・スキアボーネと対戦し、3-6、1-6で敗れた。
クルム伊達にとってスキアボーネは、これまでの2度の対戦ではいずれもストレートで敗れている相手。その過去を払拭するかのように、立ち上がりのクルム伊達はすさまじい集中力で、スキアボーネを攻め立てた。つねに先手を取り左右に展開すると、ネットに出てはボレーを沈める。相手のサービスで始まった最初のゲームを、最後は豪快なスマッシュで決めてブレークした。
だがここで崩れないのが、実績に裏打ちされたスキアボーネの強さだ。3度のゲームポイントをしぶとくしのがれると、最後は根負けしたようにクルム伊達がダブルフォルトをおかし、ブレークバックを許してしまった。
その後も一進一退の攻防が続くが、第1セット終盤にスキアボーネがブレークし、ぬけだすと、土の女王が支配し出した。
だがそれでもクルム伊達は、攻めの姿勢を崩さない。その一貫した信念は、相手を上回ったウイナーの数にあらわれている。とくにボレーのポイントは6本あり、2本のスキアボーネを圧倒した。だがリスクを負って攻めた代償として、アンフォーストエラー(凡ミス)の数もかさむ。トータルポイント数でついた19の差は、ほぼそのままアンフォーストエラーの差だった。
試合後にネット際で握手したふたりのベテランは、そのまま笑顔で言葉を交わす。観客たちの暖かい声援に軽く手を上げ応じながら、クルム伊達はコートフィリップ・シャトリエを後にした。
試合後のクルム伊達のコメントをお届けする。
第1セットでブレークした後、2-0にしたかったんです。仕掛けて上手くいかなかったときに、ラリーが振り出しに戻るという場面が何度かありました。そのあたりが、本当の意味でクレーで育っていないアジアの選手にとっては難しいんです。
(シード選手との初戦での対戦は)なんとなく予感できていたことではあるけれど、ここまできて、まだ厳しいドローが続くのかという感じがしました。ただ、逆に考えれば、ここ3年、私はセンターコートとスザンヌ・ランラン(第2スタジアム)でしか試合をやっていないので、そんなにラッキーな選手もほかにいないかなとも思います(苦笑)。
去年のこの時期に比べれば、調子は良いとまではいえないけれど、ましではありました。第1セットで、もう少し相手についていったなかで、相手と自分のプレーを試したかったというのもありますが、今日の試合では、そこまでは行けませんでした。満足度ということでは、半分もいっていません。