パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは、現地時間3日に男女の4回戦を行い、男子第1シードのノバク・ジョコビッチが、アンドレアス・セッピに2セット先行されながらも、逆転でからくも勝利した。


第3シードのロジャー・フェデラーは、ラッキールーザー(予選で敗れながらも、本戦欠場者が出たため繰り上がるで出場した選手)のデビット・ゴッフィンに1セットを取られたが、その後は3セット連取で逆転勝ち。グランドスラム31大会連続で、準々決勝進出を決めた。
早朝に降った雨がローランギャロスの赤土を濡らし、そして午後から照りだした太陽が、表面の砂を乾かしていく。そのように2層になったクレーコートが、第1シードの足元を不安定なものにした。セッピのドロップショットを追おうとしては足を滑らし、フォアハンドを打つ際にもバランスを崩す場面が何度もある。「ボールは重く、足元は滑りやすかった」という悪条件の中、ジョコビッチは幾度となく相手のショットを見送っては、うなだれた。
だが、2セットを失っても、「逆転できると信じていた。それが今日の試合で、唯一良かったことだ」というように、相手にブレークを許しながらも、そのつど盛り返す。最終的には3セットを奪い返し、本人曰く「何をやっても上手くいかない日」を切り抜けた。
ジョコビッチにとって、2セットダウンから逆転したのは3度目のこと。「このような状況から逆転できる精神状態は、練習で得られるものではない。経験を重ねることで、窮地に居ても平常心を失わずにいられるんだ」との言葉通り、王者のメンタリティをコートで示してみせた。
フェデラーと対戦したゴッフィンは、ベルギー出身の世界ランク109位。細身で、表情には少年のようなあどけなさを残す21歳だ。その細い手足をいっぱいに使い、体ごとボールにぶつかるような伸びやかなプレーを見せるゴッフィン。早いタイミングでボールを捕らえ、フェデラー相手にも臆することなくネットに果敢に出ていく姿は、コートスザンヌ・ランランの大喝采を引き起こした。
試合後、コート上で異例ともいえる勝者と敗者揃ってのインタビューを受けたゴッフィンは、「僕は、ロジャーのポスターをたくさん部屋に貼って育った。そのアイドルとのスザンヌ・ランランでの対戦を、心から楽しんだ」と顔を紅潮させ声をはずませる。
そのようすを目を細めて見るフェデラーは、「次の対戦を楽しみにしている。お互いの頬にキスしたから、以前より相手のことを良く分かったしね」とユーモラスに語った。
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