パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは、現地時間5日に女子準々決勝2試合を行い、2010年準優勝者のサマンサ・ストーサーがドミニカ・チブルコワを破り準決勝に進出。もう一試合では、今季絶好調のサラ・エラニが、昨年全米ベスト4のアンジェリーク・ケルバーを破り、初のグランドスラム準決勝進出を決めた。


2年前の準優勝者が、好調だ。今大会、ここまで失ったセットはなし。2年前の決勝で敗れたフランチェスカ・スキアボーネら歴代優勝者たちが次々と足元を救われるなか、安定した強さでベスト8まで進出してきた。この日行われた準々決勝でも、第1シードを破り勢いにのるドミニカ・チブルコワを、6-4、6-1で楽にしりぞけている。
昨年の全米を制したストーサーの武器は、高く弾むキックサーブと、強烈なスピンをかけたフォアハンド。それに加え、スライスでリズムを変える戦術眼にも長け、相手のボールが少しでも浅ければ、すかさずネットに詰めて強烈なドライブボレーで仕留める。女子には珍しいプレースタイルだが、「私はずっとこのようにプレーしてきているし、これが一番やりやすい」とストーサー。特別に意識することなく自然に体得したそのスタイルは、ボールが弾みやすいクレーでもっとも威力を発揮する。これで、全仏でのベスト4以上は3回目。話題性豊富なライバルの影に隠れてきた実力者が、ここに来て一気に優勝候補に躍り出た。
そのストーサーと準決勝で対戦する権利を得たのは、クレーを大の得意とするイタリアのエラニ。今季既に3勝を上げるなど、現在キャリアのピークを迎えている。身長は164cmと小柄だが、強靭な脚力と、クレーの特性を熟知した試合運びで長身のケルバーのパワーを封じ、6-3、7-6で会心の勝利。25歳にして、自身初のグランドスラムベスト4到達をはたした。
小さな体で赤土の上をエネルギッシュにかけまわり、多彩なショットを操るそのプレースタイルは、2年前の女王であるイタリアの同胞スキアボーネを彷彿させる。「彼女が優勝した時のことは、よく覚えている」というエラーニが次に対戦するのは、スキアボーネが2年前の決勝で破ったストーサーだ。
「私がここまで来たのは、よいプレーをしているから。次の試合もベストを尽くすだけ。どうなるかは見てのお楽しみ」
ベストを尽くし、先輩が成した偉業の再現を目指す。
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