パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは、現地時間9日に女子決勝が行われ、第2シードのマリア・シャラポワが、第21シードのサラ・エラニを6-3、6-2で破り優勝。全仏初優勝を果たすと共に、4大大会全てを制する“キャリア・グランドスラム”を成し遂げた。女子選手でキャリア・グランドスラムを達成したのは、史上10人目。1968年のオープン化以降では、6人目となる。


4年前のケガにより、100位圏外まで落ちたランキング。「赤土での私は、氷の上の牛」というまでに苦手としたクレーコート。それらの状況を考えたとき、この優勝は奇跡のようにも思われる。だが、悲願を果たすため彼女が辿った足跡は、改善と研鑽を積み重ねた、緻密な勝利へのプロセスであった。
クレーで戦うためシャラポワが真っ先に強化したのが、フィジカルだった。滑る足元にも崩れぬバランス感覚。長いラリーになっても途切れぬ体力と、すぐに次のポイントに備えられる回復力。それらがあったからこそ、自信を持って動けていたとシャラポワは言う。この日の試合でも、エラニのドロップショットに追いつき、自分のポイントにする場面が何度もみられた。
さらには、サーブ。何度もフォーム変更を繰り返したサーブは、ダブルフォルトが多いという欠点も時折顔を出すものの、重要な場面で一発でポイントを取れる大きな武器と化した。決勝戦の最後のゲームでも、デュースから2度までもエースを決め、優勝へと力強く前進した。
そして、リターン力。もともとリターンには定評のあるシャラポワだが、今大会では上背をいかして相手のサーブを叩きつけ、そこからラリーの主導権を握るのが勝ちパターンである。決勝戦も含めた7試合で、シャラポワは相手のサービスゲームを、なんと71%の確率でブレークしている。サーブを弱点とするエラニでは、勝機を見出すことは不可能に近かった。
「ここまで長い旅路だった。それでも私はつねに、自分はよりよい選手になると信じてきた。例えクレーでも、上達できると信じてきた。どんなに多くの人たちが無理だといっても私は聞かなかった。私は、自分の声に耳を傾けてきた」
自分を信じ、正しき道を取捨選択しながら重ねた努力と改革。だからこそこの優勝は、奇跡ではなく、必然だ。
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