doi120618_01.jpg英国バーミンガムで開催中のAEGONクラシックで、4回戦に進出した土居美咲は現地時間17日に、元世界1位のエレナ・ヤンコビッチと対戦。3-6、4-6で敗れ、準決勝進出はならなかった。


doi120618_02.jpg初日から雨にたたられ続けたバーミンガムは、大会最終日の日曜日になり、ようやく晴れ間が見え、太陽が緑の芝を乾かすようになっていた。本来なら2日前に行われるはずだった、準々決勝。土居にとって初のWTAツアー4回戦は、試合が3日間にまたがる珍事となった。
16日の夕方、一瞬の晴れ間をぬって始まった試合は、わずか2ゲーム半を終えたところで中断となり、そのまま日没を迎えた。土居にしてみれば、最初のゲームをブレークで落としながら、相手のサービスゲームでブレークポイントをつかみ、これから反撃開始というところでの水入りである。
「とにかく待ち疲れました。もう、何度ウォームアップしたかも分からない。ご飯を食べるタイミングなども難しく、プレーヤーズラウンジで天気情報を聞きながら調整していった」という状態で過ごしてきた24時間。そのあたりの調整面でも、ベテランのヤンコビッチとは大きな差が生まれたはずだ。
それでも、17日に再開された試合で、土居は集中した立ち上がりを見せていた。バックとフォアの強打でポイントを奪い、すぐさまブレークバックに成功。相手の出鼻をくじくとともに、自分に流れを引き寄せたかに見えた。
だがそれでも崩れないのが、トップ選手の実力だ。「サーブもリターンも含め、どのショットも質が高い。ITFの選手がするようなミスはしてくれないので、自分から攻めないとポイントが取れない」と感じた土居は、自分のサーブにプレッシャーがかかったか、第1セットの大事なゲームで2度のダブルフォルト。相手にブレークを献上してしまった。
第2セットの最初のゲームも、ミスが重なりブレークされた土居。それ以降は相手と互角に渡り合い、得意のフォアでウイナーを奪う場面も増えただけに、くやまれる第2セットの立ち上がりだった。さらに、5-4で迎えたヤンコビッチのサービスゲームでは、ストロークで相手を振り回し、7度のブレークポイントを握る勝負強さを発揮。ヤンコビッチは、ボールボーイを怒鳴りつけるまでに苛立っていた。
不運だったのは、4つ目のブレークポイントで、相手のフォアがネットに掛かり土居のコートに落ちた場面。ツキのなさもあり、最終的にはこのゲームもヤンコビッチのサーブに退けられた。だが土居は十分に見せ場を作り、ファンを沸かせもした。そのことは、試合進行が早い芝にも関わらず、1時間44分を要した試合時間にも表れているだろう。
今年2月から新たなコーチを雇い、自らの手で自分の道を切り開く覚悟を固めた土居。その後ここまで結果の出ない時期が続いたが、本人は「テニスそのものは、やるべき方向が見えていた」と前を向き続け、そして到達したWTAベスト8のポジションだ。来週の月曜日から始まるウィンブルドン予選に向けても「ツアーで3つ勝てたのは素直に嬉しいが、次のウィンブルドン予選に気持ちを持っていく。この勢いのままいきたい」と、得意の芝での躍進を目指している。