6月25日に開幕したウィンブルドン選手権は、初日の第1試合に森田あゆみが登場。ジャーミラ・ガイドソバと対戦し、6-4、6-3で快勝した。
※写真は初戦突破を果たした森田あゆみ、クリックで拡大
森田は第1セットの第4ゲームをブレークし、5-3とリードして自らのサービスゲームを迎えるも、ここでブレークバックされるいやな展開。しかし、すかさず次のゲームをブレークして第1セットを奪取。第2セットも早々にブレークし、3-0とリードを奪った。
ところが、ここで相手がメディカルタイムアウトを取ると、トレーナーがコートに着くのが遅れ、予想以上に長い中断に。よい流れを止められた森田は、第4ゲームでダブルフォルトなどもあり、ブレークバックを許してしまった。
だが今日の森田は、このような局面で崩れない。ここでもすぐにブレークバックに成功すると、一気に流れを掌握。
じつは、このように安定したプレーの背景には、コンパクトに変えた新フォームの存在があった。その契機となったのは、全仏のシャラポワ戦である。2回戦でシャラポワに完敗した森田は、試合後に「このままのフォームでは、強い相手には振り遅れて自分から攻められない」と痛感。そこでテイクバックを小さくし、さらには早めにセットしてボールの落下点に入るよう打ち方を変えたというのだ。
この新フォームが安定感を生み、ラリー戦を制する大きな要因となる。さらにサーブに関しても、今回は常に100%の強さで打つのではなく、確率と回転を重視したという。緩急をつけたサーブとコンパクトに変えたスイングで、強打自慢の難敵から会心の勝利をつかみとった森田。白星と大きな自信を手に、2回戦へと歩みを進める。
試合後に会見が行われたのでそのようすをお伝えする。
――前哨戦でケガがあっただけに、今日の勝利は大きいのでは?
バーミンガムで腰を痛め、予定していたイーストボーンも間に合わないのでやめましたが、その分、しっかりトレーニングができました。1週間あいたことで、逆にウィンブルドンに向けてはいい調整ができたと思います。
――どのように腰を痛めたのか?
バーミンガムのコートが、ベースラインのところが芝がはげ、土が出ているひどいコートでした。そのなかで、サーブリターンのときにイレギュラーしたボールを無理して追って、腰を痛めてしまいました。その後4~5日休んで、そこからは問題なくできています。
――2連敗中の相手だったが、今日は何が以前と違ったか?
内容そのものは変わっていませんが、リターンを多く返せるようにすること、そして自分のサービスゲームをしっかりキープすることを考えていました。今日はリターンがよく相手にプレッシャーをかけられたのと、自分のサーブがよかったのも大きかったです。
――第2セット3-0で中断になったのは、いやではなかったか?
相手は乱れ始めると(プレーが)あらくなることがあると分かっていたので、自分は相手より精神的に落ち着いて、1ポイント1ポイント冷静にプレーしようと思って試合に入りました。ただ、3-0になったとき、去年のことを思い出しました。今回も第1セットを取り、第2セットもリードしながらサーブが乱れて逆転されたので、去年と同じような展開でした。でも去年の経験があったので、今年は同じような状態になっても冷静に対処できたのだと思います。
――今日の試合では、スイングをコンパクトにして挑んだそうだが?
そうですね。全仏のシャラポワ戦の時、相手のショットがすぐ返ってくるので、相手のボールについていくのが精一杯で、自分から打てないと感じました。ですから、自分のスイングもコンパクトにし、なるべくクローズスタンスでボールに向かっていくよう練習してきました。
――それは、自分で必要性を感じて、自分から変えようと思ったのか?
はい。シャラポワとの試合後に一番感じたのが、その部分でした。いつものように大きくテイクバックを取ると、相手のボールが懐に入ってきて、振り遅れる感じがします。もっとコンパクトにしないと強い相手とは打ち合えないので、そこを変えることが一番重要だと思いました。杉山愛さんからも、もう少しテイクバックを小さくしないと振り遅れるし、体幹もブレるといわれました。自分も、周囲も感じていたことだったので、すぐに調整に取り組みました。
――今大会の目標は?
いつもと一緒ですね。一試合一試合、次の試合に集中していくだけです。