頂点に昇り詰めるまで・・・其の四 遠回りするも良し!

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来る日も来る日も、フォアハンドの練習を繰り返し、よりパワーを生むためにはどのようにしていくのが良いのか、とにかく話し合いをしながら練習は行われた。

その中で、感じることは、「先ずは、とにかくやってみる!」この「やってみる!」ということが、彼にとっての最大の武器だったに違いない。

それは、できるのか?できないのか?という判断を頭の中で行うのではなく、自分の身体で試してみて、フィーリングは感じるのか?という判断が下される。しかも、1日や2日では決めない。最低でも2週間程度はかけたと思う。感じが違えば彼は「違う感じ・・・」と伝えてくる。

このようなことを繰り返していると、徐々に必要に感じるものだけは残され、感じないものは切り捨てられることにより、「研ぎ澄まされて」いった。

我々は、「常に感じる」ということを課題に、彼が17歳で初めて練習をした時から、練習の大切なテーマのひとつとして行われてきた。これについては、今も昔も変わることなく続けられている。

彼の強さは「感じながら練習できる」ということ。技術にも感じることは当然のこと、それ以外に、例えば、「USオープンの決勝のセットオール、ゲームカウント3-3のポイントは15-30」という状況を作るとする。すると、彼はその状況の中でプレーすることができる。

どのようにして判断するか?それは、手の汗の量と、車いすのスピード、身体の切れ、すべての要素で緊張が走る。当時はこういったことも確認しながら練習を繰り返し、「感じる技術」を身に付けていった。
そのようなことも含めながら、フォアハンドの改善が進められ、日を追うごとに結果が現われてきたのだった。

今思えば、遠回りはものすごくしたと思う。しかし、決して近道を探すだけが大切なことではないと感じる。ある程度限界は作る中で、遠回りしたことが、時間の大切さ、経験の豊富さ、打たれ強さ、確信に迫る感じ方・・・など、心を強くしていく要素を身につけていくことができたと思っている。

コメント

  1. tarojun さん : 2008.10.12

    「身の丈を超えない努力」「遠回りするもよし」それぞれ含蓄のあるお話です。
    国枝選手と丸山コーチの呼吸が感じられるようです。
    また、楽しみにしています。

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  2. hill さん : 2008.10.13

    丸山コーチの「熱い」ものを常に感じて拝読しております。多分、それでパワーをもらっている人たち(私も含め)が沢山いるのでは?そんな方達のためにも・・・・今後もご活躍を期待しています!

    返信

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