10月3日(月)、有明コロシアム及びショーコート(江東区・有明)にてATP500『楽天ジャパンオープンテニス チャンピオンシップス』のシングルス1回戦4試合と、ダブル1回戦の2試合が開催された。
この日、ダブルスで松井俊英(APF)/上杉海斗組(江崎グリコ)、マクラクラン勉(イカイ)の3名が登場した。
ダブルスの面白さを知る日本人ファンが、松井/上杉ペアの試合で熱狂した。
ナイトマッチの2試合目に組まれたこの試合は、予選を上がったサンダー・ジレ/ヨラン・フリーゲンのベルギーペアとの対戦。立ち上がり、良い集中で試合に入った松井/上杉が、2ゲーム目でいきなりサービスブレークを果たす。
松井のフォアのアングル、ボディショットに合わせたボレーなど、スーパーショットが炸裂すると、上杉はハイバックボレーをアングルに決めるなど、ダブルス巧者ならではの技のオンパレードとなる。そのまま6−3で第1セットを奪った。
第2セットはディサイディングポイント(デュースになった際、レシーバーがサイドを選び、その1ポイントでゲームを決着させる。ノーアドともいう)で、両ペアがサービスの持ち味を発揮しサービスキープにつなげる展開に。タイブレークでは2本のミニブレークを許した松井/上杉ペアがセットを落とし、試合はファイナルセットのマッチタイブレーク(10ポイント)へ。
お互い譲らない展開の中、5−6上杉のセカンドサーブをジレがバックでクロスへ引っ張りミニブレークを許す。しかし、6−8でジレのセカンドサーブを松井がリターン、すかさず上杉がポーチに飛び込みポイントを取ると、会場は熱狂の渦へ。
7−8の松井のサービスをミニブレークされると、7−9と相手のマッチポイントに。1本目は松井がワイドに切れるサービスを放ってしのぐ。2本目は左利きのフリーゲンがワイドにサービスを放つと、上杉は体を伸ばし何とかコートへ返す。ジレが叩いたボールも上杉が面を合わせる。深いボールを松井がフォアでフリーゲンのバックに突くと、その逆クロスのボレーがポーチに出た上杉とすれ違い、万事休す。接戦を制したのはベルギーペアとなった。
ITF M25の柏で優勝し、この有明に臨んだ2人。「ダブルスはチームとしてやっていくものなので、プレーにしても声かけにしても補い合うことが大切」と松井が言えば「僕がプロ1年目から組んでいただいている。プレーから性格まで色々話し、細かいところまでわかり合っている」と上杉も信頼を寄せている。
今回は敗退という結果となったが、日本人の観客にはこの抜群のコンビネーションが目に焼きついたことだろう。試合後のスタンディングオベーションがそれを証明した。
松井は柏から9週連続で大会を回る予定をしており、「その結果次第で来シーズンを考える」と言っている。
ようやく有観客となった中、キャリアの終盤を見据える松井。毎回が最後だと思って見ておく必要がありそうだ。
なお、マクラクラン勉/アンドレ・ヨーランソン(スウェーデン)ペアは、第4シードのダニエル・エバンス(イギリス)/ ジョン・ピアース(オーストラリア)ペアに2−6、6−7(5)で敗れた。
日本人ペアとしては他に、西岡良仁(ミキハウス)/内田海智(富士薬品)がワイルドカードでエントリーしており、ニック・キリオス/タナシ・コキナキス(オーストラリア)と対戦。試合は10月5日(水)に行われる予定だ。
取材/保坂明美 写真/伊藤功巳