今年の全豪オープンジュニアのシングルスで優勝し、ITF世界ジュニアランキング1位にもなった坂本怜が、9月20日に有明コロシアムで、プロ転向宣言を行った。15歳から盛田正明テニスファンドの支援でアメリカのIMGアカデミーで腕を磨いており、今回は盛田氏と共に会見に臨んだ。

盛田氏は、「プロとアマチュアは違います。プロは相手を弱くすることもやらなくてはいけない。勝つためには何でもやらなくてはいけない。そんな中で負けないで強くなれば、日本を代表する選手になると思います」とエールを送った。

坂本は、今までサポートしてくれた方々に感謝を述べた後、「テレビで錦織選手を見て夢をもらいました。今度は自分が夢を与える側になりたい。見てくれた人に笑顔を与えられる選手になりたい。そのためにグランドスラムで優勝を目指します」と、決意表明した。

プロ転向記者会見は有明コロシアムで行われた

195センチの長身から放つサービスとパワーが出せるフォアハンドが武器で、課題はフィジカルとメンタルだと考えている。所属はIMGで、コーチはまだ決まっていない。

今後のプランとしては、「来年のUSオープン予選にかかるランキングにしていきたい。24歳でグランドスラムのタイトルを獲得。ケガがありつつ、1年でカムバックして、26歳で2度目のタイトル、そこでランキング1位に届くことをイメージしています」。ケガを想定しているあたりが、彼のユニークなところ。

そんな坂本にとってうれしいニュースが発表された。9月23日から予選が始まる国際大会『木下グループジャパンオープン』の、シングルス予選と錦織圭とのペアでダブルス本戦のワイルドカードが与えられることになったのだ。

手で口を押えて驚く様子を見せながら、「最高の舞台でプロデビューできる」と喜び、錦織とのダブルスについては、「信じられないこと。不思議とワクワク感が沸いてきます」と、IMGアカデミーで「可愛がってもらっている」先輩とのダブルスに心を躍らせた。錦織とのペアとなれば注目度も高くなるため、プロデビューには最高のプレゼントである。

先週末に行われたデ杯メンバーに帯同し、日本のトッププロと接する機会があった坂本に、先輩たちから学んだことを聞くと、悩みに悩んだ末に「男はどれだけ成長しても男」ということを学んだと言う。予想外のコメントに、勝利後の侍パフォーマンス。個性的な日本男児のプロキャリアが輝かしいものになることを期待したい。

勝利後に行う侍パフォーマンス!

【プロフィール】
坂本怜/さかもとれい(所属:IMG)
2006年6月24日生まれ、愛知県出身。195センチ。
錦織圭に憧れ15歳で盛田正明テニスファンドの支援でIMGアカデミーにテニス留学。2024年全豪オープンジュニアシングルス優勝、全米オープンジュニアダブルス優勝。ITF世界ジュニアランキング1位(2024年5月27日付)。ATP世界ランキング778位(9月16日付)。9月20日にプロ転向。

取材・文/赤松恵珠子