男子の国別対抗戦「デビスカップ ワールドグループ1部 コロンビア戦」が、9月14日・15日に東京の有明コロシアムで開催された。1日目はシングルス2試合を実施し、西岡良仁と錦織圭が勝利を挙げて2勝0敗とする。日本が王手をかけた状態で迎えた2日目。ダブルスは敗れたものの、エース対決に西岡が勝ち、3勝1敗で日本が勝利。2025年のデビスカップ・ファイナルズ予選の出場権を手に入れた。

2日目のダブルスには錦織圭と綿貫陽介で出場予定だったが、錦織に代わって望月慎太郎がコートに立った。1日目のシングルス後の錦織の状態が、まだ万全ではないだけに出場は難しいとの結論に至ったための変更である。同時に、5試合目までもつれた場合のシングルスには、ダニエル太郎がプレーすることが決定した。

日本ペアの綿貫陽介と望月慎太郎。写真/伊藤功已
コロンビアペアのニコラス・バリエントスとクリスティアン・ロドリゲス。写真/伊藤功已

ダブルスは日本の若手ペアと、コロンビアのダブルススペシャリストたちの対戦となった。綿貫の力強いサービスとストロークに、望月のネットプレーがかみ合い、リターンも冴えて第1セットをタイブレークの末に奪取。第2セットは調子が上がってきたコロンビアペアが取り、ファイナルセットへ。

セット序盤に日本ペアが流れをつかめそうな場面もあったが、そこで乗り切れなかった。ポイント獲得の起点となっていた綿貫はケガから復帰したばかりで、暑さや体力不足で集中力が切れたこともあり、7―6(4)、2―6、3-6で敗北を喫した。

望月は、「やり切ったと思う」と言いながら、「サービスの確率が低く、サービスの次のショットの質も低かった」と反省点を挙げた。綿貫は2人のリターンの特徴が違うだけに、「もう少しリターンゲームでブレークしたかった」と振り返った。

2勝してエースの責務を果たした西岡良仁。写真/伊藤功已
コロンビアのニコラス・メヒアはハイレベルな戦いで疲労困憊だった。写真/伊藤功已

ダブルスで負けた綿貫に、「先輩に任せとけ」という力強い言葉をかけてコートに立ったのはエースの西岡。世界ランク54位の西岡にとって、237位のニコラス・メヒアは格下と言える相手だが、デ杯では何が起こるかわからない。

試合序盤にブレークされて0-2とするが、すぐに追いつき、5-5まで拮抗した状態が続く。西岡は無理せずプレーレベルを保っていたが、メヒアのミスが突然増えて7-5で第1セットを手に入れた。

第2セットは「相手の開き直ったプレー」で0-4までリードされる。「ファイナルに行っても勝てる自信はある」西岡は、この場面で「決めないようにして、できるだけ長く(ラリー)しよう」という戦略に出た。「デ杯は過程より勝利が大事」との考えの元、ファイナルに入った場合に勝つ確率を上げるために、相手を動かすことを優先したのだ。

この段階ですでに、メヒアのフィジカルは悲鳴を上げていた。チャレンジャーレベルの選手が、1日目に錦織、2日目に西岡というツアーレベルの選手を相手に連日戦っているのだから当然だろう。西岡の相手を動かす戦略は見事にはまり、逆転に成功。7-5、6-4で日本に勝利をもたらした。

ベストメンバーを揃えた日本は強かった。西岡は「ツアーで戦っている選手が控えていてくれるのは気持ち的に楽」と言い、添田豪監督も「(今のチームは)最高ですよ。ベテラン、エース、若手もいて、裏方もいる。チームの勝利です」と胸を張る。

そして今回、満員のセンタコートという最高の雰囲気を作った観客も、力強いサポートとなったことは間違いない。「プレーしやすい最高の雰囲気を作ってくれた」と西岡。「こういう雰囲気の中ですると選手にエネルギーが届きます」と添田監督も感謝の気持ちを述べている。来年、日本で開催される場合は、再び最高の雰囲気を作り上げよう。

チームの応援も支えとなった日本。コートサイドで応援していた錦織圭は飛んできたボールにすかさず反応。写真/伊藤功已

■14日の結果(1日目)

第1試合 〇西岡良仁(世界ランク単54位)6-2 6-4 ●アドリア・ソリアノバレラ(単460位)
第2試合 〇錦織圭(単205位)6-4 6-4 ●ニコラス・メヒア(単237位)

■15日の結果(2日目)

第3試合 ●望月慎太郎(単146位、複1155位)/綿貫陽介(単338位、複453位) 7-6(4) 2-6 3-6 〇ニコラス・バリエントス(複53位)/クリスティアン・ロドリゲス (複107位)
第4試合 〇西岡良仁 7-5 6-4 ●ニコラス・メヒア
第5試合 中止

■最終結果

日本 3-1 コロンビア

取材・文/赤松恵珠子、写真/伊藤功已