第3回盛田正明杯が2月23日(日)、千葉県柏市の吉田記念テニス研修センター(TTC)で開催された。この大会は、日本男子のトッププロ、大学生、高校生が、カテゴリーを超えて戦う団体戦だ。試合方式は1セットマッチ、3試合(シングルス2本、ダブルス1本)で勝敗が決まる。

参加8チームが2ブロックに分かれ、総当たりのリーグ戦を行った初日の結果を受け、トーナメントを戦ったこの日、全員プロのPTL(プロテニスリーグ)が、日本大学を下し、優勝を果たした。

PTLはプロテニスリーグの開催を目指す団体で、現在はプロとともにスクールイベントを開催し、地道なテニス普及とファン獲得の活動を行なっている。

シングルス1白石光(SBCメディカルグループ)、シングルス2片山翔(伊予銀行)、ダブルス松井俊英(地主株式会社)、竹島駿朗(JITC)、を、監督兼プレーヤー、そしてPTLの理事でもある江原弘泰(ONE DROP)が率いる。

白石は「コロナ禍で行われたこの大会に早稲田大学のメンバーとして出場したことがあり、その時とても楽しかったので、出場することを決めました」と言い、松井も「PTLは色々なイベントを行なっていて、お誘いは受けていたけど、今まで参加は一度もできずにいました。今回はホームコートですし、11月から試合には出ていなかったこともあり、タイミング的に良かったので出場しました」と出場経緯を語る。

PTLのエースとして大会を通して全勝し、MVPにも選ばれた白石光

チームは初日のリーグ戦、1試合を落とすのみで順当に勝ち上がり、リーグ1、2位のトーナメントでは、準決勝で橋本総業ホールディングスと対戦した。シングルス2の片山は、河内一真にマッチポイントを握られるもそれを覆してタイブレークで勝利。エース対決では白石が積極的なネットアプローチを見せ福田を6-3で倒し、決勝進出を決めた。

もう一つの準決勝は、大学王座優勝の日大が、主要メンバーを欠く中、シングルスで1-1とすると、今回初めて組んだという高畑里樹/岡部悠希が良いコンビネーションを見せBLUE SIXの神山宏正/関口周一を6-3で撃破し、決勝へ進出。前日のリーグ戦で対戦したPTLとの決勝となった。

前日のリーグ戦では白石が日大の丹下颯希に6-4、竹島が山田矢音に7-6(3)と接戦を演じた。ダブルスでは片山/江原に高畑/岡部が勝利している。

しかし、決勝での戦いはPTLがプロとしてのプライドを見せつけた形となった。シングルス2の片山が山田に6-0、シングルス1の白石が丹下に6-1、ダブルスの松井/江原が高畑/岡部に6-1で勝利し、固さが見られる相手に球際の強さ、勝負所で確実にポイントをものにする強気なプレーでプレッシャーをかけた。

敗れた日大主将の丹下は「大事な場面で相手に良いサービス、良いリターンを打たれ、上の選手にどう勝つかということを、個人的にもチームとしても改めて考えさせらる決勝でした。大学の大会では王座の優勝もあり、負けられないという気持ちがあるのですが、向かっていく立場だからこそわかることもありました」と、今大会で多くの学びを得たと語った。

準決勝でBLUE SIXに勝利し、決勝へ進出した日本大学

そして優勝したPTLの江原キャプテンは、「メンバー的には優勝して当たり前と思われるメンバーで挑みましたが、このフォーマットではそうとも限りません。その中でもこのチームは一人ひとりがプロ中のプロなので、しっかりと勝ち切ってくれて、優勝でき、実力をしっかり見せられて良かったと思います」と率直な思いを述べる。

さらに「団体戦は楽しく、この大会は他にはないフォーマットなので、4回目、5回目とこの大会の認知度が高まり、大きくなっていくといいですね」と、期待を寄せた。

高校チームで、最高の6位だった柳川高校の鵜狩良仁は、「プロや大学生の方と試合をする機会がほとんどないので、その中で自分たちのプレーを出していけたのは、とても良い経験になりました。何ができて何ができなったか、ちゃんと分析してチームでも共有していけたらと思います。そして、3月に控えている全国選抜で、これを生かし、日本一を取りにいきたい」と目を輝かせる。

日大は準優勝

立ち向かう側と、受け止める側の思いが交錯しつつ戦うこの大会は、双方にとって大きな刺激となっているようだ。

■優勝メンバーコメント

【松井俊英】
「ダブルスの1セットマッチは実力の差みたいなものは出づらく、ノったもん勝ちみたいなところはあります。自分も高校生相手(相生学院)にタイブレークをしたり、めちゃくちゃ刺激になりました。この大会が、彼らの刺激になって、プロの道を目指す人も出てくるかもしれないし、逆もあるかもしれない。そういうことを敏感にキャッチできる人はやはりセンスがあるので、自分の将来を決めていく上でのいいヒントになると思います」

【片山翔】
「自分としては準決勝苦しかったですが、いい試合はできました。1日目に高校生と2試合戦いましたが、2試合とも6−0でした。プロと対戦するなら、もっと先に攻める、先に展開する、ファイトすることが必要なのに普通に戦ってしまっていることに物足りなさを感じました。ただ”いい経験ができました”だけではなく、しっかり分析していってほしいですね」

【竹島駿朗】
「初めて出場しましたが、高校生や大学生と戦うという特殊な団体戦で、いい緊張感でプレーができました。負けられないというプレッシャーの中で戦えるのは良い機会だと思いますし、お客さんも声を出して応援しやすいので、エンターテインメントとして楽しめると思います。テニス界がもっと盛り上がっていく可能性を秘めた良い大会だと思います」

【白石光】
「やっぱり団体戦は面白いです。決勝では予選リーグでも対戦した丹下くんは、攻めるのが得意な選手なので、守っていてはダメだと思い攻撃しました。前日の対戦を生かして戦えたと思います。この大会は、プロと学生、高校生が戦える良い機会です。1セットマッチ、セミアドというフォーマットは、絶妙にチャンスがありそうで、でもないよ、ということを僕たちは見せていかないといけないと考えながら戦いました」

【江原弘泰】
「大会を終えて感じるのは、メディアやYouTubeなどを通してもっと多くの人に広めることができればと思いました。高校生や大学生やプロと戦うのは絶対に面白いですし、現在は8チームですが、もっと大くなって枠が増え、伊予銀行や明治安田などが参戦すれば、応援のお客さんも増えて盛り上がると思います。僕自身も今回は監督を経験させてもらい、とても勉強になりました」

松井俊英/竹島駿朗ペア

■盛田正明杯大会概要
主催:橋本総業ホールディングス株式会社
特別協賛:公益財団法人吉田記念テニス研修センター
協賛企業:BLUE SIX、学校法人柳商学園柳川高等学校、株式会社やまやコミュニケーションズ、GlobalConnection株式会社、株式会社マザーグース、提中法律事務所、一般社団法人プロテニスリーグ機構

協力:一般社団法人プロテニスリーグ機構、ヨネックス株式会社、株式会社ハイドロコア
日時:2025年2月22日(土) 試合開始 10:00~
2025年2月23日(日) 試合開始 9:30~
会場:吉田記念テニス研修センター 屋外コート2面・HATドームコート2面

観戦料金:1日券 1,000円、2日券 1500円 (高校生以下無料 チケットは申込必要)
種目:男子団体戦(シングルス2本、ダブルス1本)

参加チーム:
<高校チーム>
①相生学院(2024年全国選抜高校優勝)
②四日市工業(2023年インターハイ優勝)
③柳川高校(2022年インターハイ優勝)
<学生チーム>
①日本大学(2024年度全日本大学王座優勝)
②学生選抜 筑波大学(2024年度全日本大学王座準優勝) および、慶應義塾大学(2023年度全日本大学王座優勝)
<プロチーム>
①橋本総業HD
②BLUE SIX
③プロテニスリーグ機構(PTL)

大会形式:1チーム4名、8チームによる団体戦
試合方法:1セットマッチ 3試合(シングルス2本、ダブルス1本)
第1日:2025年2月22日(土)A、B各ブロック4ームによる総当たりリーグ戦
第2日:2025年2月23日(日)ブロック1位2位のチームによるトーナメント、各ブロック3位4位のチームによるトーナメント

取材・写真:保坂明美