
広島県福山市の竹ケ端運動公園庭球場及び、こざかなくんスポーツパークびんごにて開催された、2025年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)は、8月4日、個人戦のシングルス、ダブルスの決勝が行われた。
■女子シングルス決勝■
女子シングルス決勝には、フラット系の強打が得意な第1シードの早坂来麗愛(仙台育英)と、スピン系ショットを駆使して相手を崩す第2シードの上方璃咲(野田学園)との対戦となった。
上方のスピンで高く弾ませて相手を後ろに下げるプレーは「正直得意ではない」という早坂だったが、第1セットは、「打ち過ぎず、打たな過ぎず相手のボールに付き合うというわけではないですが、なるべく自分の得意なボールに持っていけるように」と、しぶとくプレーすることを心がけて、6-1で先行する。
第2セットは持ち直してきた上方と競った展開となったが、「自分にずっと良い流れがくるわけない」という心の準備も万端だった早坂が、落ち着いたプレーを見せた。「ここはこのくらいの出力で打つ、ここはコースを重視する」と考えながら、最後はフォアで仕留める得意とするプレーを貫き、6-3で取り切った。
「優勝したいと思っていたけど、そんなに自信があるかと言われたら全然なかった。とにかく自分を信じて試合に臨めたのが勝てた要因かと思います」という早坂。昨年の全日本ジュニアの決勝も含め、何度も対戦している上方への対策は万全だった。

一方の上方は団体、ダブルス、そしてシングルスと全て決勝へ進み、7日間で18試合を戦った(シングルス決勝は17試合目)。「相手はピンピンで元気で、何度も戦っている相手なので対策もしてきたし、頑張って耐えていたけど最後の最後まで持ち切れる体力が自分にはなかった」と悔しさを滲ませるが、「その中でもファースト(セット)を落とした後、切り替えて競ることができたと考えることができた自分をすごく褒めてあげたい」とポジティブにとらえた。

川崎このはとのダブルスも準優勝となったが、2人で全日本ジュニアの優勝を目指す。
そして早坂は今大会へ向け、「ランニングとかも今まで以上に頑張った」という。また、これまではうまくいかないときのイライラがポイントにまで影響していたが、「取られても”次!”と切り替えられる」ようになった。春の選抜高校テニスのシングルス優勝からさらに成長しての全国2冠。今年は「USオープンジュニアの予選に勝って本戦で少しでも多く勝ち上がること」そして将来は「プロになってトップ10入りすること」が目標だ。
優勝:早坂来麗愛(仙台育英)
準優勝:上方璃咲(野田学園)
○1早坂来麗愛②(宮城・仙台育英)6-1 6-3 ●128上方璃咲③(山口・野田学園)


■女子ダブルス決勝■
女子ダブルス決勝は、井手葵/渡久地杜生(沖縄尚学)と、川崎このは/上方璃咲(野田学園)が対戦し、6-1 2-6 [10-7]で井手/渡久地が優勝を飾った。 ファイナルセットの10ポイントマッチタイブレークでは、0−3とリードを許した井手/渡久地だが、渡久地のスーパーショットや、井出の脅威的なコートカバーリングが流れを変え、栄冠を手にした。

■コメント
井手葵
「ファーストセットは良かったのですが、セカンドで落ちてしまって、自分ばかりミスしているなと感じていました。最後(タイブレーク)はとにかく全部拾って頑張ろうと思っていたらポイントも増やすことがき、優勝できて良かったです。自分はガチガチに硬くなるタイプなのですが、パートナーは結構楽しもうというタイプで、いい方向に引っ張られています。去年はダブルス準優勝、今年団体準優勝、全日本ジュニアも準優勝。本当に銀しか取っていなかったので、ラストで金を取れてうれしい」
渡久地杜生
「あまり勝った実感はないのですが、ずっと楽しくやろうと思っていました。シングルス、団体、ダブルスのどれか沖商が取りたいと思っていたので良かったです。サーブのコースとか指示を全部自分が決めているのですが、(パートナーは)いい意味で無理しないでくれるので、デュースで頼ってくれてポイントにもなるし、ちゃんと言ったことは聞いてくれるので試合がやりやすいです。私はダブルスしかやっていないので、役割は果たせたのかなと思います」
優勝:井手葵/渡久地杜生(沖縄尚学)
準優勝:川崎このは/上方璃咲(野田学園)
○井手葵/渡久地杜生(沖縄尚学)6-1 2-6 [10-7] 川崎このは/上方璃咲(野田学園)●


写真・文:保坂明美(Tennis.jp)


