ATP500「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス」が、有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コートにて9月24日~9月30日(本戦)に開催されている。3日目となる26日はシングルス2回戦とダブルスの1、2回戦が行われた。

シングルスで2回戦に進出した日本人選手は、予選を勝ち抜き本戦1回戦で世界ランク22位の選手から勝ち星を挙げた28歳の島袋将。ツアー本戦の舞台は約2年ぶりで最近はチャレンジャーを主戦場にしていたが、8月の中国のチャレンジャーでは優勝し調子は上向きだった。

日本人選手で唯一シングルス2回戦に進んだ島袋将。写真:伊藤功巳

2回戦の相手は世界ランク74位のS・コルダ(アメリカ)。キャリアハイは15位の25歳だ。コルダのファーストサービスは強力だが、セカンドサービスになると島袋は積極的に攻撃していく。1ゲーム目から3度のデュースがあったがブレークには至らず。逆に4ゲーム目でミスが重なってブレークされてしまう。

島袋は、「出だしからすごく硬く入ってしまった」と言う。昨日まで良いプレーをしていた自分への期待感、ホームの大勢のお客さんの前で良いプレーをしたいという思いが、プレッシャーとなってのしかかってきていた。

第1セットを1-6で落とすが、スコアほどの差があるようには感じさせない内容だった。実際、ブレークチャンスは島袋に6度訪れ、コルダには3度。だが、島袋が1度もブレークできなかったのに対し、コルダは2度モノにしている。この重要なポイントでのプレー精度の高さがスコアに表れていた。

ファーストサービスのポイント獲得率が高かったコルダ。写真:伊藤功巳

第2セットに入り、島袋の硬さも徐々に取れて、ストロークでエースも取れるようになる。しかし、コルダも同様に調子を上げてきており、ブレークポイントをなかなか握れない。3ー4のゲームで1度だけブレークチャンスが訪れたが、相手のサービスで阻まれストレートで敗退。予選から駆け抜けた島袋のジャパンオープンは本戦2回戦で幕を閉じた。

試合後に、「毎日同じプレーができるわけではないので調子が悪い時にどう自分のテニスを引き出して勝ちにつなげるかが、テニスのトーナメントの中で大切だと思います。自分がこのランキング(273位)にいる理由は、調子悪い時に本来の自分とかけ離れたレベルまで下がってしまう」からだと実感したようだ。

「自分らしいテニスができないと思った瞬間にもっと声を出したり、自分自身で奮い立たせて流れを変える、そういう戦い方をするべきだったと思います」と学びを得ている。「昨日まで、あれだけのプレーができるという良い自信になっています」と言う島袋。このジャパンオープンでの戦いが、彼のキャリアを大きく押し上げるきっかけになりそうだ。

R・ボパンナ/柚木武組。写真:伊藤功巳

インドのR・ボパンナと組んでワイルドカードでダブルスに出場している柚木武(イカイ)が、第3シードのM・ゴンサレス/A・モルテニ(アルゼンチン)組に勝利して準決勝進出を果たした。

ボパンナは元ダブルス世界1位の45歳。コースが厳しいサービスに、鋭いリターン、ボレーの反応とダブルススペシャリストらしさを随所に発揮する。日本代表のダブルスメンバーとしてデ杯にも召集されている柚木だが、まだツアーレベルでの経験は足りない。元世界1位と同じコートに立てる機会に、多くのことを吸収しようとしている。

特に、「どれだけネットで存在感を出せるかにフォーカスしてアドバイスをもらっている」と、相手にプレッシャーをかけることを意識して取り組んでいる。「恩師みたいな感じになっています」というボパンナから、技術もメンタルも学べれば大きく成長できるだろう。

ちなみに、柚木の最大の武器はサービス。長身から放たれるサービスは威力があり、なんと今日の試合では時速239キロをマークした。

【9月26日金曜日の結果】
■シングルス2回戦■
〇S・コルダ(アメリカ) 6-1 6-4 ●島袋将(有沢製作所)[Q]
〇A・ブキッチ(オーストラリア)[Q] 6-4 6-2 ●D・アルトマイヤー(ドイツ)
〇T・フリッツ(アメリカ)[2] 7-5 7-6(4) N●・ボルジェス(ポルトガル)
〇C・ルード(ノルウェー)[4] 7-6(4) 6-2 ●M・ベレッティーニ(イタリア)

■ダブルス2回戦■
○R・ボパンナ/柚木武(インド/イカイ)[WC] 7-6(5) 7-6(4) ●M・ゴンサレス/A・モルテニ(アルゼンチン)[3]
■ダブルス1回戦■
〇A・Erler/R・Galloway(オーストリア/アメリカ)4-6 6-3 12-10 ●S・Arends/L/ジョンソン(オランダ/イギリス)[4]
〇B・ナカシマ/F・ティアフォー(アメリカ)6-2 4-6 10-5 ●G・ディアロ/A・ミケルセン(カナダ/イギリス)
〇S・ゴンサレス/D・ペル(メキシコ/オランダ)7-6(5) 6-4 ●F・Cabral/L・Miedler(ポルトガル/オーストリア)

取材・文:赤松恵珠子、写真:伊藤功巳