世界ランキングNo1のチャレンジャー

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写真は今期最終の世界戦「マスターズ」を終了し、帰国前の現地(オランダ:スキポール)空港でのひとコマ。

表舞台の華やかな笑顔や振る舞いに比べ、本当の意味で評価されるべき裏の舞台はベールに包まれている。表があるということは裏があり、その裏舞台では想像もつかないほどの苦悩と苦労を抱え、どのように乗り越えたかで、その人の成果に現れ、評価され、最後には人の価値となっていくものと感じている。

今期の世界戦が終了し、来年へ向けて歩みだした、「努力の秀才」斎田選手や「努力の天才」国枝選手は、今の時期に、もう一度「基本」に戻り、自分のテニスを見つめ直す時期に入った。とは言っても、来月末にはオーストラリアンオープンに出場するため、ゆっくりモードとはいかないのが現実である。

「温故知新」という言葉があるように、過去を知り、現在を分析し、未来が予測できる訳だが、先日の練習中に国枝選手と30~40分話し込んだ。やはり、昔とは違う立場に立たされている「若きチャンピオン」は、自分の目指すプレーと現実のギャップに相当苦しんでいる。

それもそのはず、今までは、「ランキング上位選手を倒す」という目標があった。しかし、No1と表されている現在は、彼の上に「選手」はいない。単純に、目の前に、具体的な標的が存在すればやりやすい。しかし、今は「己との戦い」という場所に存在している。この場所は、想像を絶するプレッシャーが彼に襲い掛かっている。また、目の前で黙々と「これでもか!」というような、気迫で練習している斎田選手、海外の至る所で練習をしているライバルとの戦い。追うものを目の前にしながらの緊張。不安と不調の中で「我」を見失いかけている状態。その結果、彼が悩んだ末に出した答えは、新しく習得しようとしていることに志半ばで、「元に戻す」選択であった。

彼の取った行動は、正しいのか?正しくないのか?それは、分からない。でも、元に戻すことは、今までと同じ居心地の良い場所。小生が彼に伝えた言葉は、「それでは進化に繋がらない」と・・・なぜ伝えたか?それは、過去からの経緯。「技術的な彼の過去」と「メンタル的な彼の過去」を伝え、現在のそれらを分析した結果を伝え、だからチャレンジのやり甲斐があるのではないのか?ということを伝えた。窮めて真面目に話した。これは、彼の将来を左右することであるから・・・

元来「チャレンジャー精神の塊」が、彼であり、そこが彼を支えている大きな土台がある。無謀なこととは思っていないし、自らの可能性を自らの力で是非とも掴んでほしいと思っている。最終な話し合いで、もう少し「チャレンジ」をするという決断。彼は手探りの中、もう一度チャレンジすることを自らの意思で決定した。

彼の意思は相当なものと感じているが、小生もそれに負けず劣らず成功するまで続けていく決意である。これから、もっと多くの壁が幾度と無く立ちふさがると思っている。これは、小生が経験した2004年の「アテネ」の経験からである。

次回は、この経験を振り返ろうと思う。

コメント

  1. tarojun さん : 2007.12.10

    選手を支えるコーチの信念、チャンピョン故の選手の苦しみ。それを乗り越えるためにコーチと選手の真剣勝負。感動しました。テニスはテニスですが、深いですね。華やかな試合の影に隠れている日々の戦いがある。それは「自分との戦い」ということでしょうか。哲学的でもあり、すべての人々にも通じることです。どうか国枝選手が「挑戦」できるようがんばってください。

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  2. まーちゃん さん : 2007.12.10

    №.1というのは成るのも維持するのも大変なんでしょうね。
    慎吾くんの苦悩も推して知る他はありませんが・・・。
    先日子供を連れての散歩時に必死の形相で斉田選手が手賀沼サイクリングロードでトレーニング中でした。
    自分自身の「挑戦」について考えさせられた瞬間でした。

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