楽天ジャパン・オープンが10月1日に開幕し、初日には日本の守屋宏紀や、全米オープンベスト4のトマーシュ・ベルディハらシード選手が登場した。守屋は、第7シードのスタニスラス・ワウリンカ相手に、第2セットを奪い、ファイナルセットも最後まで競る大健闘。敗れはしたが、今後の活躍に大いに期待を抱かせる内容であった。
「今は、悔しさでいっぱいです」
世界の18位の選手を相手に、184位が5-7、6-4、4-6の大熱戦。それでも守屋の試合後の表情に、満足の色は微塵も見られなかった。
得意のバックを軸に、相手の強打にも下がらず果敢に攻めた試合だった。「相手と自分の大きな差は、大切なポイントの取り方とサーブ力」と言いながらも、ときにサーブ&ボレーを試みる。鋭いアングルショットを織り交ぜながらリズム良く攻め、ネットに出て決めるという理想の形で何度もポイントを奪っていった。「自分のテニスが、通用したという思いもある」。それだけに、敗れた事実を真っ向から受け止め、全身で悔しがった。
試合の分岐点となったのは、第3セットの第7ゲーム。先にブレークされながらも、守屋がブレークバックした直後のゲームである。良い形でポイントを取り40-30とリードしたが、ここで痛恨のダブルフォルト。この勝負のあやを、世界のトップレベルは見逃してくれなかった。
だが、善戦してなお見せるこの悔しさこそが、今シーズンの守屋の成長の証だろう。先週のバンコク大会では、ロビン・ハースを破りATPツアー初勝利も手にしている。「1年前の自分なら、トップ選手相手にどういうプレーをするかイメージできなかったが、今は経験を積んで自分のプレーが通じるという思いもある」と、気がつけば接戦では満足できない自分がいる。フィジカルを鍛え、経験を積んでたどり着いた、現在地点。
「自分は、日々の積み重ねを自信に変えてここまで来た。今後も特に何かを大きく変えるのではなく、このテニスの質を上げていきたい」。
ベビーフェイスの勝負師は、最後まで厳しい表情を崩さなかった。
その他の試合では、第2シードのベルディハが、フランスのBenoit Paireに第2セット終盤で追いつかれるも、タイブレークで突き放して初戦突破。元世界12位のビクトル・トロイツキも、ロビン・ハースを退けた。
※写真は、楽天ジャパン・オープンの1回戦で、スタニスラス・ワウリンカと対戦し、惜しくを敗退した守屋宏紀
Photo by Hiroshi Sato
楽天ジャパン・オープン
シングルス
1回戦
○ルーカス・ラコ(スロバキア) 6-0 6-2 ●アルベルト・ラモス(スペイン)
○スタニスラス・ワウリンカ(スイス)[7] 7-5 4-6 6-4 ●守屋宏紀
○ビクトル・トロイツキ(セルビア) 6-2 6-3 ●ロビン・ハース(オランダ)
○トマーシュ・ベルディハ(フランス)[2] 6-1 7-6(6)●Benoit Paire(フランス)
[ ]内の数字はシード順位