ラファエル・ナダル

パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは9日に男子の決勝戦を行い、第3シードのラファエル・ナダルが第4シードのダビド・フェレールを6-3、6-2、6-3で圧倒。4連覇を達成し、通算8度目の全仏タイトルを手にした。

勝負を決めたのは、この試合19本目となるフォアハンドのウイナーだった。ワイドに切れるサーブでフェレールを追い出し、返ってきたボールを逆クロスに叩きこむ。ボールが2バウンドするよりも早く、ナダルは背から赤土の上に倒れこみ、両手で顔をしばし覆った。

全仏最多優勝は昨年既に達成したが、今年手にした8度目のタイトルは、四大大会の1大会で得た最多優勝の金字塔。だがそのような記録より、再びこの場所まで戻ってこられた事実を、ナダルは両手の下でかみしめていたはずだ。

与えられたシード数こそ3だったが、ナダルが今年も優勝候補の最有力だったことは変わらない。だが、7ヶ月に及ぶ休養で下がったランキングは、頂上までの道のりを険しいものにした。本来なら決勝で当たるであろう第1シードのノバク・ジョコビッチと、準決勝で当たることになったのだ。ナダルが今大会、普段以上にナーバスに見えたのは、そのようなドローも影響しただろう。
 
実際にジョコビッチとの一戦は、事実上の決勝戦といえる内容だった。試合時間4時間37分、第5セットの9-7までももつれ込んだ末の勝利は、ナダルの体力を奪いはしたが、代わりに自信と心の平穏をもたらしたろう。決勝のナダルは落ち着き払い、常にブレークで先行した。相手にブレークバックを許しても、セット終盤で確実に突き放す戦い方に、王者の貫禄と余裕が漂う。大会終盤に向け調子を上げてきたサーブはこの日も好調で、5つのエースを奪い取った。

決勝の日は朝から気温が急激に下がり、試合中にも小雨が落ちる悪天候。2日前のジョコビッチとの試合は強烈な日が差す暑い日で、それがナダルに有利に働いたと言われた。大会を通じ風が強い日が多く、それがナダルを助けたという声もある。だが終わってみれば、気候や風に関する考察なども、さまつな問題にしか過ぎない。いかなる気象条件のもとでも、ナダルは勝利を手にしてきたのだから。

「どうして、あなたはそんなに強いのか?」

あまりに率直なその問いに、ナダルも率直に応じる。
「僕はこの競技が好きなんだ。そして目標を持って練習に望んでいる」
テニスを愛し、赤土に愛された男は、次の目標に到達するため、今日も練習コートに向かう。

※写真は、通算8度目のトロフィーの味を確かめるナダル
Photo by Hiroshi sato

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