四大大会の今季3大会目となるウィンブルドン選手権が、24日に開幕。日本勢の先陣を切ってコートに立った土居美咲は6-1、4-6、1-6でシルビア・ソーラー-エスピノーザに敗れ、2年ぶりのウィンブルドン勝利は成らなかった。
第1セットは、完全に土居が試合を支配した。スピンを掛けた得意のフォアを左右に打ち分け、完全に相手を翻弄する。圧巻は、ゲームカウント1-5で迎えたリターンゲームだ。フォアのストレートでウイナーを奪うと、さらには鋭角のクロス、そしてスマッシュと次々に豪快なショットを叩きこむ。小柄なサウスポーが、誰にも踏み荒らされていない青芝の上で、生き生きと躍動した。
だが第2セットに入ると、相手が戦い方を変えてくる。ベースラインから下がり、土居のショットにくらいつきつつ、チャンスボールは思い切り打つようになりはじめた。その相手の変化に、土居は対応しきれない。第2セット第1ゲームは、相手のリターンがギリギリでネット際に落ち、返そうとした土居がネットタッチする不運もあってブレークを許す。そしてこのゲームを機に、ソーラー-エスピノーザが流れをつかんだ。
「相手が戦い方を変えてくることはわかっていた。自分にもう少し引き出しがあり、足ももう一歩中に入っていけば」と土居は悔み、同時にタッチネットについても「気持ちを切り替えて行かなくてはいけないが、あそこで相手に流れを渡してしまった」と振り返る。土居はセット終盤にブレークして追いすがるが、4-6で相手に逃げ切られた。
第3セットは、互いにゲームキープで迎えた第3ゲームがターニングポイントとなった。土居は快調にポイントを重ね40-15とリードするが、「最近はサーブからリズムを崩すことが多い」という心理的な不安が影響したか、ここから2本連続でダブルフォールトを犯してしまう。このゲームを落とした土居は、その後、ゲームを取ることなく敗れた。
この日の第1セットにも象徴されるように、乗っている時の土居のプレーは相手を圧倒する力がある。土居自身も「テニスの調子自身は良い」と手応えを感じてるが、競った中でポイントを失うことが多く、好調さがなかなか勝利に結びつかない。
「結果を残し、メディアの皆さんにも注目してもらえる選手になりたい」
歯がゆさとジレンマを抱えながら、ブレークスルーの時を求める戦いは続く。
※写真は、ウィンブルドン女子シングルス初戦で敗退した土居美咲
Photo by Hiroshi sato