今季最後のグランドスラムとなる全米オープンが26日に開幕。初戦に登場したクルム伊達公子(42歳)は、アルゼンチンの20歳、パウラ・オルマエチェアに3-6、6-7(7)で敗れ、復帰後の同大会初勝利は成らなかった。

大会前からクルム伊達を悩ませていたアキレス腱の痛みは、5日ほど前にピークを迎えていた。一時は出場を諦めることも考えたほどに悪化していた古傷は、クルム伊達の文字通りの“アキレス腱”。

数日前から痛みは多少和らぎ調整はしてきたが、本調子にほど遠いのは明らか。若く勢いのある対戦相手についても「練習したこともない相手だったが、今回は自分のことで精一杯だった」と、戦略を準備しコートに入る状態では無かったようだ。

そのような不安材料が、立ち上がりの試合展開に影響をおよぼす。最初のサービスゲームで2つのダブルフォルトを犯し、ブレークされる幕開けに。「スピードには別に驚かなかったが、コースが読みにくかった」というオルマエチェアのサービスにも手を焼いて、第1セットは思うようにブレークを奪うことが出来なかった。

しかし試合が進むにつれ、徐々にそのサーブにも適応し、答えを弾き出すのがクルム伊達のテニスの精髄。ゲームカウント2-2で挟んだ降雨中断の再開後、相手のサーブを叩いてブレークに成功。続く自身のゲームもキープし、4-2とリードを広げた。

だが、やはり練習不足のためサーブが安定せず、引っ張られるようにストロークのリズムも崩れていく。6-5とリードし迎えたサービスゲームでも、「今日は珍しくフィーリングが無かった」というバックハンドのミスが重なりブレークバックを許した。もつれ込んだタイブレークは一進一退の攻防となるも、最後は、本来は武器であるバックがネットに掛かり、試合に幕が降ろされた。

今季はグランドスラムでも好成績を残してきただけに、今回の結果に失望を隠せさないクルム伊達。

それでも、今大会もダブルスとミックスダブルスにも出場する意向を改めて表明し「少しでも長くグランドスラムを満喫したい。ミックスに出るのは、良い練習が出来るなどメリットも多い」と最後は笑みを見せた。

※写真は、全米オープン1回戦でショットを打つクルム伊達
写真/佐藤ひろし

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