土居美咲
ニューヨークで開催中の全米オープンは27日に男女2回戦が行われ、土居美咲が世界10位のペトラ・クビトバと対戦。第2セットを奪う健闘を見せるも、2-6、6-3、1-6で敗れ金星獲得は成らなかった。

低い弾道のバックのショットを叩きこむと同時に、「カモン!」の声がアーサー・アッシュ・スタジアムに鳴り響いた。2年前のウィンブルドン女王クビトバから、攻撃的なプレーを貫き奪い取った第2セット。159cmの小柄な身体が、ダイナミックにコートを跳ねる。土居美咲のテニスが、世界最高のキャパシティを誇る全米オープンのセンターコートで、最大限に発揮された瞬間だ。

「徐々に相手のサーブのコースが読めるようになってきた」という土居は、第2セットはリターンから積極に攻めていった。「なるべく相手の動きを止めるため、真ん中の球を多く使いボディを攻めるようにした」という戦術も、見事なまでに奏功する。

ややフットワークに難のあるクビトバのボディを攻めて機先を制し、次に左右に振りながらオープンコートを作ると、伝家の宝刀・フォアの逆クロスで止めを差す。この日はスタジアムを巻くように強風が吹き抜けたが、土居のショットは風を切り裂き、次々とコートに突き刺さった。

勝負のターニングポイントは、第3セット最初の数ゲームだったろう。簡単なフォアのミスが続いてブレークを許し、続くゲームではブレークポイントを生かすことが出来なかった。この試合を通じて土居がつかんだブレークポイントは16あったが、そのうち奪えたのは2つ。ブレークポイントの数では、クビトワの11を上回っていた。

「(第3セットの)最初のゲームをキープ出来ていれば、違う展開になったと思う」

土居も分岐点となったゲームを悔やんだが、同時に、自分のテニスを世界最高の舞台で披露できた満足感も覚えている。
「センターでやりたい気持ちは、当然あった。オーダーを見た時は『おおっ!』となってテンション上がりました」と土居。

今年の全豪オープンでは、ハイセンス・アリーナでマリア・シャラポワに完敗を喫したが「大きなコートだと相手に食われてしまうところもあるが、第2セットで自分の良いテニスが出来たのは、前回の経験があったからだと思う」と、過去の経験を確実に生かしてもいる。

今年は春先から夏にかけて思うような結果が残せず、自信を失いかけたこともあったという。だが今回の健闘は、改めて土居が秘めるポテンシャルの高さを示すものとなった。

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※写真は、全米オープン1回戦でショットを放つ土居美咲
写真/佐藤ひろし