ニューヨークで開催中の全米オープンは28日に、男女1・2回戦が行われた。日本勢で唯一初戦を戦っていなかった添田豪は世界53位のマルコス・バグダティスと対戦し、4-6、3-6、1-6で敗れた。
「今日はサーブの調子が良くなかった。そのため、全体的にリズムがつかめなかった」
この試合最大の敗因を、添田はそう端的に言い表した。予選時には好調で、添田のプレー全体のレベルを引き上げてきたサーブが、この日は思うように決まらない。「サーブの調子は日によって違う」と言っていた添田だが、“外れ”の日が本戦に当たったのは不運だったかもしれない。第1セットのファーストサーブの確率は44%。第2セット以降はスピードを落とし確率を重視したが、その代償としてポイント獲得率は50%台にまで落ちてしまった。
だからと言って、添田に全くチャンスが無かった訳ではない。第1セットの出だしは五分の展開を見せ、特に「今回調子が良かった」というフォアでウイナーを奪っていった。しかし、ゲームカウント4-5からサービスゲームブレークされ、最後の最後で突き放される。
セットポイントは、相手のフォアが際どい所に決まったもの。納得のいかない表情の添田。「あそこはアウトを取って欲しかった」と試合後にも悔しさをにじませた、試合序盤の大きなターニングポイントだ。
第2セットも序盤は食らいつくが、3-4からブレークされて逃げ切られる。「第2セットを落としたことで、相手を楽にさせてしまった」と添田。伸び伸びとプレーし始めた実力者が、第3セットは添田を圧倒した。
添田は昨年のオリンピックでもバグダティスと対戦しており、フルセットの接戦を演じている。その時の手応え、そして予選を勝ち抜いてきた自信も重なり、添田は「良いイメージを持って」試合に挑んでいた。だがそれが「チャレンジャー精神が足りない」結果を呼び、逆に「相手は危機感を抱いて、必死だったように感じた」と言うのだから、勝負事は難しい。
全米オープン初勝利はならなかった。それでも、今季結果の出ていなかったハードコートで予選を突破し、本戦まで辿り着いた価値は大きい。
「今季中に100位以内に戻りたいし、その手応えもある」今年序盤は苦しみを味わった男が、終盤戦に向け巻き返しを誓った。
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※写真は、全米オープン1回戦に登場した添田豪
写真/佐藤ひろし