ニューヨークで開催中のニューヨークは9日に男子決勝を行い、第1シードのノバク・ジョコビッチと第2シードのラファエル・ナダルが対戦した。通算37回目となる直接対決は、ナダルが6-2、3-6、6-4、6-1で勝利。自身2度目の全米制覇を成すと共に、グランドスラム通算獲得数を13に伸ばした。
サイドラインをなぞるように伸びる打球が、相手コートのコーナーを捉える。ジョコビッチが懸命に伸ばし返した打球は、浮き上がりラインを超えていった。そのボールを見送りながら、ナダルは地面に突き刺すようなガッツポーズを繰り出した。第3セットを奪うと同時に、爆発させた勝利への気迫。このセットが勝敗の行方を決したことを、このとき両者は、悟ったはずだ。
流れがめまぐるしく入れ替わる試合だった。第1セットは、明らかにナダル。だが第2セット終盤から第3セット序盤に掛けては、完全にジョコビッチが主導権を奪い返した。今大会絶好調だったナダルのサーブを、3ゲーム連続で打ち破る。フォアの強打でウイナーを量産するジョコビッチが、一気に走りそうな気配を見せた。
その急流が再び反転したのが、第3セットの第10ゲーム。ジョコビッチが30-0とテンポよく2ポイントを重ねるが、そこからナダルが4ポイント連取でブレーク。同時に第3セットを手中に収め、試合の支配権をも手中に収めた。
第4セットは、ミスの増えたジョコビッチをナダルが突き放す。3ゲームを連取し、ジョコビッチのキープを挟んで再び3ゲーム連取。マッチポイントを飾ったのは、この日も猛威を振るったフォアの逆クロス。なんとか返したジョコビッチのショットは、ナダルのコートに返ることは無かった。
1年前のこの時期、ナダルはニューヨークから遠く離れたスペイン・マヨルカ島の自宅のソファーで、決勝戦をテレビ観戦していた。痛めた膝の状態が芳しくなく、大会を欠場せざるをえなかったからだ。「別に、特別なことではない。自分が出ていた大会でだって、決勝をテレビで見ることはよくある」。ことも無げにナダルは言うが、最終的に7ヶ月に及んだ休養期間は、不安や疑念との戦いでもあったはず。
「不安材料は、再び万全の体調に戻れるかどうかだった」そう認めながらも、ナダルは言う。「トップ選手として、既に8~9年プレーしてきたんだ。体調さえ良ければ、戻れると信じない理由はない」
積み重ねた実績を信じ、勝ち取った全米タイトル。その栄冠はナダルを“グランドスラムタイトル保持者ランキング”歴代3位へと押し上げた。常に成長し続け、苦難を乗り越えてきた実直な男が、史上最高へと近づきつつある。
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※写真は、2度目の全米制覇の味を確かめるナダル
写真/佐藤ひろし