ツアーを回る選手たちはテニスの世界がもっとどうなっていったらいいと考えているのだろう? このテーマを選手に投げかけてみた。答えてくれたのは同じ橋本総業HDに所属する斉藤貴史と中川直樹。他にも知っていそうで知らないプロ入りのきっかけについても聞いた。

公私ともに仲の良い中川直樹(左)斉藤貴史に話を聞いた。

――まずプロになったきっかけを教えてください。

中川直樹(以下中川) 僕は保育園の頃からテニスプレーヤーになりたいと言っていたのですが、一番なりたいと思ったのは小学校2年生の時ですね。フェデラーとロディックのウインブルドン決勝を見て強く思いました。2004年の対戦です。2人はウインブルドンの決勝で3回戦っていて、04年が初めての対戦でした。最初はロディックが勝っていたのでロディックを応援していたのですが、フェデラーが追い上げて逆転しました。いつの間にかフェデラーに引き込まれ、応援していて…そこからフェデラーが大好きになりました。そこからずっとプロを目指して、言っていたとおりのことが今もできているので良かったなと思います。

斉藤貴史(以下斉藤)正直、ちょっと夢のない話をしてしまうかも知れませんが、それしかなかったのが現実です。僕は高校2の時に考えました。インターハイの時、ベスト32で負けて「しょぼい、これじゃプロになれない」と思いました。大学に行こうと考えていたのですが、その会場で周りを見渡してみました。みんな試合をやっていて、この中の多くが大学へ行って、就職してという道を歩むんだろうな…と考えた時に、自分はそういう量産型の人間になりたくないと思いました。みんなと一緒の生き方はしたくない、違う人生を進みたいと思ってプロになりました。

――今のテニス界を盛り上げるためにどういったことが必要だと思いますか?

中川 簡単なことではないですけど、選手が活躍することが結果的に盛り上がっていくと思っているし、そうなったらうれしいです。イベントで盛り上げようとしてくれている人もたくさんいますが、今の僕の一番はとにかく活躍することです。

斉藤 日本の主軸となるところに任せないことですね(笑)。盛り上げるとか盛り上げないとかそういう観点でテニスを見ていなければ当然その方向へはいかない。もちろん選手が活躍することで盛り上がるのが一番正しい形だと思います。直樹みたいなビジュアルのいい選手が活躍してくれたらなおさらいいです。

――では、日本のテニスの世界がもっとこうなったらいい、という考えはありますか?

中川 確固としたものはまだないのですが、マイアミの大会などは、アトラクションや食事など会場に行くだけで楽しいというものがたくさんあるんです。お金をそこまでかけられないとは思いますが、「行くと楽しいことがある」と感じられるものが大会の会場にあるといいとは思います。

斉藤 テニスという競技でお金をどう回していくかを考えていく必要があると思います。今は小さな“テニス”というずっと同じ枠組みでしか回っていないと思います。野球のようにテレビや地域などと一緒に取り組んでいかないと、結局スポンサーも同じところしかなくなってしまう。例えばソフトテニスや卓球と一緒に何かをしてみたりすれば、お互いのファンも巻き込めたりする。そういう仕掛けが必要なんじゃないかと思っています。

――テニス自体の面白さはどのようなところにあると思いますか?

中川 やっぱりテニスって性格が結構出ると思うんですよね。プレースタイルとか、駆け引きとか…。自分を表現できる場だと思っています。そういうところが僕だけでなく、一般プレーヤーの方もやっていて楽しいと感じるところかと。プレーでその人の考えとか、どういう駆け引きをしているのかとか、相手も同じ立場の中、どちらが勝っていくか、というところが一番の面白さだと思います。

斉藤 僕はテニスを表現のツールだと考えています。みんなが喜んでくれたり、みんなが見ていてくれるところで勝ったりとか、僕の結果を見てすごいとか言ってくれたり。まぁ、承認欲求ですね。そんな自分を見て楽しんでくれる人がいたらいいかと。

――「自分のここを見てほしい」というポイントはありますか?

中川 僕は今、トレーニングで身体を大きくしていこうと思っていて、結構頑張っているので、身体がしっかりしてきたとか見てもらえたらいいですね。「でかくなって動き悪くなってないか?」とは言われないようにしないと!

斉藤 僕はまぁ顔ですね(笑)。

冗談も交えながら語ってくれた2人。もちろん選手は結果を出していくことが仕事であり、重要なことではあるが、自らのアピールを自ら行うことも現代では必要なもの。2人ともツイッターやインスタグラム等のSNSや、斉藤はYouTubeでも発信をしている。彼らのキャラクターが垣間見えるものとなっているので、ぜひ一度チェックを。

斉藤貴史

発言はやんちゃ系だが、テニスをどう盛り上げていくのが良いか考えている斉藤。

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中川直樹

今年はITFで優勝を果たしている中川。チャレンジャーレベルに上がることが今の目標だ。

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インタビュー=保坂明美