4日、男子テニスツアーの最終戦であるATPツアー・ファイナルはロンドンのO2アリーナで初日を迎え、第4シードのフアンマルティン・デルポトロ(25歳、アルゼンチン)と第7シードのスタニスラス・ワウリンカ(28歳、スイス)がそれぞれ勝利、決勝トーナメント進出に向けて好発進した。

上位8名しか出場できない今大会。大会は8名を2つのグループ(グループAとグループB)に分け、総当たりでの予選リーグを行い、それぞれのグループの上位2名が決勝トーナメントに進出する。

今大会に初出場のワウリンカはグループAの第1試合に登場、第5シードのトマーシュ・ベルディハ(28歳、チェコ)を6-3、6-7(0)、6-3のフルセットで撃破、デビュー戦を勝利で飾った。

ベルディハに対しここまで2連勝していたワウリンカは、第1セット第6ゲームでブレークに成功して先手を取ると、第3セットでも3-1とリード。ベルディハにブレークバックを許すことなく、2時間25分で勝利を収めた。

初戦を落としたベルディハは、「負けで始まるのは良くない」としながらも「まだ2試合ある」とベスト4進出への意気込みを語った。

グループBの初戦に登場したデルポトロは、第8シードのリシャール・ガスケ(27歳、フランス)に6-7(4)、6-3、7-5の逆転で勝利しながらも、素直に喜べないことを告白している。

先週の土曜日にパリからロンドンへ鉄道で移動する際、窃盗の被害にあっていたデルポトロ。盗まれたものには、アルゼンチン出身のフランシスコ教皇から祝福を受けたロザリオも含まれていた。

敬虔なクリスチャンとしても知られるデルポトロは「最悪の土曜日があって、試合に集中するのが難しかった。テニスが好きだけど、誰かが僕の人生の一部を盗んでしまった。そのことを考えないのは無理なことだよ」と、改めてショックな出来事だったことを強調した。

試合はまず、ガスケが第1セット第8ゲームでブレークに成功してリードを奪う。しかし、デルポトロはすぐさまブレークバックに成功する。

「試合の序盤は、ポジティブになれなかった。本当にポジティブになるのが難しかったし、試合に集中することができなかった」と、デルポトロは認めている。

タイブレークで第1セットを落としたデルポトロだったが、持ち前の強烈なグラウンドストロークで第2セットを奪い試合を振り出し戻すと、シーソーゲームとなった第3セット終盤で抜け出し、2時間23分で勝利した。

グループBにはディフェンディング・チャンピオンで第2シードのノバク・ジョコビッチ(26歳、セルビア)と、今大会通算6勝を誇るロジャー・フェデラー(32歳、スイス)も入っており、デルポトロとガスケにとって残りの2試合は厳しいものになることが予想される。

早くも1敗となったガスケは「残りの2試合は、失うものが何もないね。もしグループステージを突破できるとしたら、今日の試合がキーポイントだね」と、敗戦を振り返った。

一方のデルポトロは「続く2試合は難しいものになるだろうね。ロジャーには2週間前に勝ったけど、先週の大会では負けています。僕らはいつも好試合になるんだ。ノバクも本当に良いプレーをしている。USオープン以降は負けていないね」と、グループリーグ突破への意欲を見せた。

今大会は男子テニスツアーのフィナーレを飾るだけに賞金額も他の大会とは一線を画しており、出場者には無条件で14万2000ドルが支払われ、グループリーグで1勝するたびに14万2000ドルが支払われる。仮に今大会を全勝で優勝した場合、チャンピオンはトロフィーと192万3000ドルを手に入れることとなる。