北海道・札幌市にて2週にわたり開催されるITFワールドテニスツアーM25「UCHIYAMA CUP」が、平岸庭球場(北海道札幌市)にて開催。4日は、シングルスとダブルスの決勝がそれぞれ行われた。

第1シードの野口莉央(明治安田生命)と、第7シードの関口周一との対戦は、ファーストゲームで野口のサービスをブレークした関口が、そのまま第1セットを6-4で先取する。

第2セットも2ブレークアップで4-1とリードするが、「2ブレーク目にエネルギーを使いすぎて」足が攣ったという関口と、「昨日、今日とたくさんの方がお金を払って見にきてくださっている中、その人たちの時間を無駄にしてはいけないと思った」という野口の間で戦況が一転する。野口が4ゲーム連取し勢いに乗ると、7-5でセットを取り返した。

関口周一

ファイナルセットは、失セットゼロ、1試合は相手の棄権で勝利してきた野口が、フルセット2試合を戦って勝ち上がってきた関口を押し切り、4-6 7-5 6-2で逆転優勝を果たした。

野口は今シーズンチャレンジャー大会を主にしてツアーを周り、「いい成績ではなかったけど、自分には何が必要なのか、ITFでは知ることのできないものを得た」と話し、4月にはサービスだけのコーチングを鈴木貴男氏に受けたことから「サービスに対する意識が変わり、キープがしやすくなっている」と語る。

今シーズンITF3勝目を挙げた野口は、苦しい試合でも戦況を冷静に見ることができている。勝つべきそれなりの理由があるようだ。

野口莉央(左)と関口周一(右)は笑顔で健闘を讃え合った

 

ダブルスは、第4シードの仁木拓人/柚木武(三菱電機/チームralosso)が、第2シードの川上倫平/田島尚輝(マイシン/やまやコミュニケーションズ)とのファイナルセット・マッチタイブレークを10-8で制して優勝。柚木は前回(JTA大会)に続き、2連覇を果たした。

【コメント】
野口莉央(シングルス優勝)

「優勝は素直に嬉しいです。最初はフィーリングが良くなく、相手にリードされて途中少し投げやりになりそうだったのですが、昨日、今日とたくさんの方がお金を払って見にきてくださっている中、その人たちの時間を無駄にしてはいけないと思いながらプレーし、気持ちの面で持ち直しました。本当に皆さんのおかげです。今シーズンこれで3回目の優勝、1つ準優勝があり、この結果にはちょっとびっくりしています。チャレンジャーを主体に回ったり、用具を変えたこともあり、以前よりサービスが良くなっていて、キープがしやすくなっているところが(好成績の)要因かと思います。来週も1回戦からきついドローだと思って戦います」

野口莉央

関口周一(シングルス準優勝)

「セカンドセット、4-1と2ブレークをしたときに足が少し攣りました。もしかしたら、2ブレーク目でエネルギーを使いすぎたかもしれません。でも、これまで野口選手と戦って得たことを生かし、ロングラリーは僕のポイントにできていたので、そのあたりは手応えとして感じています。コーチの金子(英樹)さんには決勝が終わった後、『もう来週が始まってるからね』と言われました。2週続くので、そういう切り替えは必要だと思います。来週もいいプレーができるよう楽しんでいきたいと思います」

柚木武(ダブルス優勝)

「(2連覇は)本当にうれしいです。要所要所で仁木さんのサーブやリターンに助けられた場面が初戦からあり、今日のマッチポイントも仁木さんのいいサーブがあったからこそ相手にプレッシャーをかけられたと思います。6月、ITFの初優勝が仁木さんとのペアで、色々コミュニケーションを取りながら役割分担をしてプレーできるのがいいダブルスになっています。優勝は今日まで。来週また仁木さんと組むので、明日から練習してフレッシュな状態で臨みたいです」

仁木拓人(ダブルス優勝)

「最初からいい状態でプレーできることが少なく、あまりよくない展開でセットやゲームを落とすことが、大会通して多かったと思います。2人のプレーのクオリティが下がってしまう時間帯もあり、結構苦しかったのですが、最終的にどんどんプレーが良くなり、集中力が上がって取り切れたのが良かったと思います。相手がどうというより、自分たちがいいサーブ、リターンを打って主導権をとっていこうということをテーマに戦いました。来週も簡単に勝てる相手はいないので、結果を考えず、1試合ずつ全力で戦いたいと思います」

柚木武(左)、仁木拓人(右)

【試合結果】
2022年9月4日(日)11:00〜 札幌市平岸庭球場
男子シングルス決勝1試合/男子ダブルス決勝1試合

■男子シングルス決勝
野口莉央 [1] 4-6 7-5 6-2関口周一[7]

大会ディレクターの増田健太郎氏、準優勝の関口、優勝の野口、主催の内山靖崇氏

■男子ダブルス決勝
仁木拓人/柚木武(三菱電機/チームralosso)[4] 3-6 6-4 10-8 川上倫平/田島尚輝(マイシン/やまやコミュニケーションズ)[2]

大会ディレクターの増田氏、優勝の仁木、柚木、準優勝の川上倫平、田島尚輝、主催の内山氏

UCHIYAMA CUP 取材/保坂明美 写真/長浜功明