10月9日(日)、有明コロシアム(江東区・有明)にてATP500『楽天ジャパンオープンテニス チャンピオンシップス』のシングルスとダブルスの決勝が行われた。
第3シードのテイラー・フリッツ(アメリカ)と第4シードのフランシス・ティアフォー(アメリカ)は、同じ国籍を持ち、年齢もフリッツは今年25歳、ティアフォーは24歳と近く、友人同士だという。レーバーカップでは同じチームワールドとして戦い、初優勝に貢献した。
その2人の戦いは、タイトルへの意気込みが伝わる、非常にタイトな試合となり、2セットともにタイブレークへ。7-6(3) 7-6(2)で制したフリッツが大会初優勝を果たした。
フリッツは韓国で新型コロナウィルス感染により、7日間の隔離ののち、試合当日の水曜日、朝5時のフライトで来日した。その日は雨でインドアでしか練習ができず、センターコートのサーフェスがとても速く、その差に驚いたという。しかし、初戦のジェームス・ダックワース(オーストラリア)戦、2回戦の守屋宏紀(安藤証券)戦をファイナルセットで制し、準々決勝のキリオス戦は相手が棄権という運もあり、ベスト4まで進出した。
「この日、センターコートで練習できたことが、すごく良かった。コートの速さ、感触を掴むことができた」とフリッツは後に語る。公開練習という形でプレーできたことが、優勝への足がかりとなった。
準決勝のシャポバロフ戦、そして決勝のティアフォー戦では、その証明として、ストローク戦での強さを発揮した。シャポバロフのバック、自分のフォアとなるクロスラリーで我慢強く展開し、相手にコース変更を強いてミスを誘う。ティアフォーとのお互い引かないフォアのラリースピードには、会場から思わずどよめきが上がったほどだ。
そして窮地に陥ったとき、欲しいポイントではサービスが助けてくれた。「決勝では信じられないほどサービスがよくできたと思う。パーセンテージも下がらなかったし、タイブレークではファーストサービスにミスがなかった」実際のところ、決勝のセカンドセットで1stサービスの確率は、58%と落ちたのだが、ポイント獲得率としては、84%と高く、セカンドサービスからのポイント獲得率も、セカンドセットだけで86%、マッチ全体を通して82%という高い数字を示した。
対戦したティアフォーは「彼は大切なところでいいプレーをしてきた。彼はいつも僕の一歩先を行っていて、僕は少し後ろを行っているんだ」とその存在の大きさを語る。
フリッツも「フランシスはここ数か月絶好調でプレーをしているが、それは昨年の終わり頃の僕の状態と似てるんだ。だから、やるべきことをやっていけば、来年の今頃、トップ10に入れるんじゃないかな」と、エールを送る。
韓国での隔離期間中には3日ほどかなり悪い状態で、寝たままの時間を過ごし、東京に来る3日前からようやく部屋の中で体を動かせようになったという。本来ならスキップしてもおかしくない状況であるにもかかわらず、来日、参戦を決めたのは、「ポイントが欲しかった。そして日本が好きだから」だという。
「とにかく信じられない。クレイジーだ。この10日間くらい混乱した状態だった。その中で最後にここにいること、ビッグタイトル、レースの一定のポジション、ランキング、全てにおいて想像上以上の結果を残すことができた。ほかのタイトルより大きなタイトルだ」
強行スケジュールで戦い抜き、今季3勝目のタイトルの先に辿り着いた8位というランキングを携え、フリッツは今季終盤戦を駆け抜ける。
なお、ダブルス決勝は、マッケンジー・マクドナルド/マルセロ・メロ(アメリカ/ブラジル)ペアが、 6-4 3-6 [10-4] で第3シードのラファエル・マトス/ダビド・ベガ ヘルナンデス(ブラジル/スペイン)を破り優勝した。
決勝ハイライト動画
$2,108,110 ATP500 Japan Open
会場:有明テニスの森公園
オーダー・オブ・プレー
<<決勝>>
[3]◎T・フリッツ(アメリカ) 7-6(3) 7−6(2) [4]●F・ティアフォー(アメリカ)
◎M・マクドナルド/M・メロ(アメリカ/ブラジル) 6-4 3−6 [10−4] [3]●R・マトス/D・ベガ(ブラジル/スペイン)
ドローnet
本戦ドローPDF
取材/保坂明美 写真/鯉沼宣之