千葉県柏市の(公財)吉田記念テニス研修センター(TTC)において、男女共催のITF大会(男女ともに1万5000ドル)、『かしわ国際オープンテニストーナメント』が開催された。大会最終日の4月6日(日)は、男子シングルス準決勝と、男女決勝が行われた。

天候の影響で、男子は準決勝と決勝を行うことになった最終日、準決勝の結果が、決勝に如実に現れた形となった。

第6シードの高橋悠介(三菱電機 519位)は、予選からベスト4へ進出した髙悠亜(日本大学 2105位)を6-1 6-0 とわずか1時間2分で倒した。一方、齋藤惠佑(富士住建 588位)は白石光(SBC メディカルグループ 546位)と6-7(5) 6-4 7-6(5)、3時間23分の激闘を演じて決勝進出を決める。

十分な休養を経て決勝に臨んだ高橋は、良い集中を見せ齋藤のサービスゲームを2ゲーム連続でブレークを果たすと、4-0とリードする。ロングマッチの疲労を抱え、力を振り絞る齋藤だったが、高橋はスピードストロークで押し込み、6-2で第1セットを先取した。

齋藤は「左前腿に違和感を感じ」、メディカルタイムアウトで治療を受けるが、第2セットで回復することはなく、痛みは非利き腕となる右ヒジにも及んだ。高橋はこのセットを通して4ポイントを失ったのみ、わずか53分でキャリア6度目の栄冠を手にした。

齋藤惠佑

8年前の軽井沢以来となるITF優勝に高橋は、「ほっとしています」と安堵の表情をみせる。

今シーズンはチャレンジャーでA・マナリノ(フランス)を破ったり、翌週に予選からベスト8へ進出したりするなど幸先の良いスタートを切っていた高橋。しかし日本リーグで2敗を喫し、その後もITFではなかなか優勝に届かなった。

「上の選手と戦う方が気持ちも楽だし、勝手にプレーが引き上げられていく。でも相手が向かってくるような場面になると、自分のプレーに自信が持てなく、それが課題だった」という高橋は、積み重ねている練習やトレーニングが、試合でのプレー、ひいては目標とするトップ100、グランドスラムつながるよう綿貫コーチと試行錯誤を繰り返した。

8年ぶりの優勝に安堵の表情を見せる高橋

「これで5週目の大会になるのですが、コーチと毎日色々話しながら戦ってきました。本当は2、3個優勝しようと話していたのですが、1つ優勝できて、良かったと思います」

今大会で結果につながったのは「信念と覚悟」だったという。決勝前日に祖母が亡くなったことも「ここで優勝することに意味がある」と後押しした。今後はチャレンジャー優勝を目指すという高橋は、戦いを終えた後、何度も天を仰いでいた。

■男子シングルス結果
○高橋悠介(三菱電機)[6] 6-2 6-0 ●齋藤恵佑(富士住建)[8]

■男子シングルス準決勝
〇齋藤惠佑(富士住建)[8] 6-7(5) 6-4 7-6(5)白石光(SBC メディカルグループ)[7]●
〇高橋悠介(三菱電機)[6] 6-1 6-0 髙悠亜(日本大学)[Q]●

■男子ダブルス結果
○河内一真(橋本総業ホールディングス)/松田康希(イカイ)7-5 7-5 ●岡村一成(ファジアーノ岡山)/高畑里玖(伊予銀行)[WC]

大会公式サイト

取材・写真/保坂明美