『2025 ビリー・ジーン・ キング・カップ(BJK杯) by Gainbridge ファイナル予選グループA』が4月11日(金)から13日(日)まで有明コロシアム(東京江東区)で開催されている。日本、カナダ、ルーマニアの3カ国で総当たり戦を行い、1位のチームが9月16日から21日に中国の深圳で行われるファイナルに進出する。

12日には日本がルーマニアと戦い、3−0で勝利。11日、先にルーマニアに勝利したカナダと13日にファイナル進出をかけて対戦する。

シングルス2、シングルス1、そしてダブルスの順に戦い、先に2勝したチームの勝利となる団体戦、日本代表は柴原瑛菜(橋本総業ホールディングス)、内島萌夏(安藤証券)、そして青山修子(フリー)/穂積絵莉(日本住宅ローン)がダブルスという布陣で臨んだ。

柴原瑛菜がストレートで勝利。団体戦での勝負強さを見せる

ランキングとしては内島の51位に続いて104位の2番手となる伊藤あおい(SBCメディカルグループ)ではなく、136位の柴原がシングルス2に起用されたのは、「最初に出る選手として、プレーぶりも雰囲気も彼女の底抜けに明るいキャラクターがチームの太陽のようにいつも光を与えてくれるから。まずはいいスタートを切ってほしいという思いがあった」(杉山愛監督)からだ。

柴原は「とても緊張した」というが、プレーは杉山監督の期待に応えるものだった。持ち味であるサービス、そこから攻撃に転じる展開に死角はなく、時にはドロップショットで相手をおびき出し、時には自ら前へ出てボレーで決めるなど、堅実にサービスキープを重ねる。

ルーマニアのミリアム・ブルガル(211位)もサービスゲームが安定しており、序盤はキープ合戦で進む中、「4-3でブレークポイントを握れたことで、少し落ち着いた」という柴原が、7-5で第1セットを獲得する。

ミリアム・ブルガル 写真:伊藤功巳

第2セットは「少し集中力が欠けた」というブルガルに柴原はリターンでもプレッシャーをかけ、第4、第8ゲームでブレークし、6-2で日本に1勝目をもたらした。

シングルスではダブルスのようにパートナーがいないことによる緊張感も高いというが、「一人じゃない。チームがいるし、みんな応援してくれている」という思いで戦った。アメリカの大学を経験していることから「団体戦が好き」という柴原の堂々たる戦いぶりだった。

柴原瑛菜 写真:伊藤功巳

マッチポイントからの逆転劇。内島萌夏の勝利に有明が沸く!

エース対決では内島がアンカ・トドニ(88位)を3-6 7-6(3) 6-2で破る。BJK杯では6勝4敗と勝ち越してはいるものの、代表戦ではなかなか内島らしさが出せないこともあったが、51位というランキングに伴ったテニスとフィジカルで、日本チームの勝利を決めた。

第1セット3-6、第2セットも第3、5ゲームでブレークされ、1-4となったときには、敗戦は現実味を帯びた。しかし、次の第6ゲームでブレークバックを果たすと、「それまでブレークポイントがずっとありながらもできなかったので、ようやくブレークできたのが大きかった」と、反撃に転じる。

アンカ・トドニ 写真:伊藤功巳

第8ゲームでも再びブレークし4-4、しかし自らサービスの調子を崩して再びブレークされ4-5、続くトドニのサービスゲームでは2本のマッチポイントを握られるも、ストレートのリターンエースが炸裂し、5-5に追いつく。

「正直マッチポイントだと考えていなかった。それくらい集中していたのが良かったのかも」と、内島はこのセットをタイブレーク7-3でもぎ取り、ファイナルへと持ち込む。

最初のゲームで内島がブレークを果たすと、トドニにミスが増え始める。第3セットは終始内島のペースで進み、6-2で日本チームの勝利を決めた。

「正直どうやって勝ったのかわからないです。瑛菜ちゃんが1勝して繋げてくれて、自分も最後までどうなるかわからなかったですが、勝ち切れてほっとしています」と、内島は疲労感とともに安堵の表情を浮かべた。

内島萌夏 写真:伊藤功巳

勝利は決まったものの、青山/穂積のダブルスは観客を魅了した。イリンカ・アマリエイ(ダブルス385位)/マラ・ガエ(ダブルス515位)を6-4 6-2 のストレートで退けた。青山はこれでBJK杯通算26勝となり、杉山監督を抜いて単独2位(1位は沢松和子さんの44勝)となった。

青山修子/穂積絵莉 写真:伊藤功巳

13日はファイナル進出をかけ、カナダと戦う。ITF5勝のビクトリア・エムコボ(162位)、自己最高ランキング38位のレベッカ・マリーノ(107位)を擁しており、杉山監督は「鍵はNo.2。5本の時は1本、2本落としても巻き返せるチャンスはあったが、3本となると短期決戦、だからこそ初戦が重要になる」と、気を引き締める。大会前、「団体戦の怖さはその試合になってみないと何が起こるかわからないところ。目の前の一戦一戦をしっかりと戦う」という言葉どおり、ここからが正念場といえるだろう。

試合後の会見


コメント

■杉山愛監督
「柴原選手は緊張も受け止めながら、自分のテニスをやり切ってくれた。いい勝ち方をしてくれたので、日本の勝利への良い流れになったと思う。内島選手は相手が2試合目で伸び伸びやってくる中、セカンド1-4という劣勢から自分のテニスを上げていくことができた。彼女の成長をあの試合で見ることができたので、何よりもうれしく思っている。穂積選手、青山選手のダブルスは、明日のカナダ戦に向けてどうしても勝っておきたい試合だったので、内容も含め意味のあるダブルスだったと思う」

■青山修子
「内島選手がすごく苦しんでいたので、1-1の可能性もあると思い、準備をしていたが、勝ち切ってくれて、少し心の余裕をもらえたのは本当にありがたかった。今日のダブルスは最初から最後まで自分の課題をしっかり受け止めながらプレーできたと思う。

■穂積絵莉
「勝敗が決まった中、自分の中で気持ちの持っていき方が難しかったが、日本代表としてこの場で戦えることを感謝して、自分が今できるプレーを全て出そうと思った。最後まで集中でき、日本の良い流れを手放すことなく勝利で終われて良かった」

■ルーマニア ホリア・テカウ監督
「0−3ということで決して好ましい結果ではなかったが、 選手たちが戦う姿や態度を見てうれしく、誇らしく思う。日本チームには今日はおめでとう。明日も頑張ってくださいと伝えたい」

ビリー・ジーン・キング・カップ by Gainbridge 2025
ファイナル予選グループA「カナダ / ルーマニア / 日本 」

開催日:2025年4月11日(金)~4月13日(日)
会場:有明コロシアム
4月13日(日) 11:00試合開始予定 日本 対 カナダ
シングルス2試合・ダブルス1試合

[チケット]
https://www.jta-tennis.or.jp/tabid/464/Default.aspx

[ライブ配信
U-NEXT にてライブ配信
https://www.unext.co.jp/press-room/bjkcup-2025-0401

構成:保坂明美 写真:伊藤功巳