日本テニスの誇りと名誉をかけて戦う「大正製薬リポビタンPresents 全日本選手権97th」が有明コロシアムおよびインドアコート(東京都・有明)にて10月22日(土)より開催されている。10月26日(水)には、男女シングルス3回戦16試合と、男女ダブルス準々決勝3試合が行われた。

肩の力を抜いてプレーすることを考えたという添田。写真/伊藤功巳

この全日本選手権で公式戦引退となる第2シードの添田豪(GODAI)は、全日本ジュニア優勝、ワイルドカードで出場を果たし、3回戦へ勝ち上がった原﨑朝陽(ノア・テニスアカデミー神戸垂水)と対戦し、6−2、6−4で勝利、ベスト8へ進出した。

昨日の初戦で、田口涼太郎(近畿大学)を相手にフルセットの攻防を繰り広げた添田は、第2ゲームで原﨑にサービスゲームをブレークされる。

しかし、「足のハリなどはあるけど、プレーへの影響で考えるとそこまでなかった。むしろ足のマメの方が気になった」という添田はすぐに立て直し、第3ゲームでブレークバック。その後は安定感のあるストロークを基本に、時には相手の逆をつき、時にはバックの逆クロスで狭いところを針のように差し、6ゲーム連取で第1セットを6−2で制す。

第2セットで一矢報いたい原﨑は、カウンターショットやドロップショット、ロブなどを使い、添田に揺さぶりをかけたが、キャリア20年、38歳のベテランは、ラリーで打ち負けることを18歳の挑戦者に許さなかった。

原﨑のフォアハンドを、添田は評価。写真/伊藤功巳

「昨日は久しぶりに全日本で緊張したので、今日の練習で改めて何がいけなかったのかを考えた。もっと肩の力を抜いて球の威力を込めていけば、もう少し楽に試合が進むと思ったので、今日は全体的に、ボールの質、スピードを上げていく意識で戦い、それが良かった」(添田)

知り尽くした有明のセンターコートに低く、速いボールで展開される添田のプレーは、多くのファンが知るそれだ。お互い1ブレークで進んだ第7ゲームを添田がラブゲームでブレークすると、そのまま6−4で勝利を収め、ベスト8へ進出した。

「出だしこそブレークされましたが、すぐ自分のリズムを取り戻すことができました。昨日の課題を生かし、感覚をいいものにする試合ができたと思います。内容的にも気持ち的にもギアが上がってきた感じ」と充実の表情を見せた。

20歳の年の差対決は添田が貫禄の勝利。写真/伊藤功巳

20歳下の原﨑については「フォアハンドはいいですし、時間を与えたら一気に迫られる怖さを感じました。大きな長所だと思うので、今後伸ばしてほしい。フィジカルではディフェンス時ミスが多いので、そこを鍛えればもっと強くなるはず」と、エールを送った。

添田は準々決勝で伊藤竜馬(橋本総業HD)と対戦する。

「当たれてよかった。理想は決勝が良かったけれど、お互いそこまで行ける保証はなかったので。2人で一緒に戦ってきたので、最後の舞台で対戦できるのは運命というか、本当に縁があると思います」

優勝を目指す一人のプレーヤーとして、毎試合ベストを尽くすその姿は、1試合たりとも見逃すことはできない。

なお、予選を勝ち上がった藤原智也(慶應義塾大学)は、市川泰誠をフルセットで破りベスト8進出。18歳、第15シードの伊藤あおい(サリュートテニス専門学院)は、第3シードの瀬間詠里花(橋本総業ホールディングス)をストレートで破り同じくベスト8へ進出している。

■全日本選手権
試合は『Japan テニスLIVE』で視聴可能。

男女シングルスは64ドロー、トップ16シードの選手は2回戦からの出場となる。
男女シングルスの優勝賞金は400万円。
副賞として優勝者と準優勝者には日本航空の往復チケットなどが贈られる。

<<男子シングルス 3回戦>>
[1]○今井慎太郎(イカイ)7-6(4) 6-4 ●楠原悠介(伊予銀行)
[10]○白石光(早大)6-3 6-3 [5]●望月勇希(エキスパートパワーシズオカ)
[Q)]○藤原智也(慶大)3-6 7-5 7-5 ●市川泰誠(ノア・インドアステージ)
[8]○片山翔(伊予銀行)6-1 6-2 [9]●山﨑純平(日清紡HD)
[7]○川上倫平(橋本総業)6-2 7-5 [11]●羽澤慎治(JCRファーマ)
[4]○関口周一(Team REC)3-6 6-3 6-4 ●仁木拓人(三菱電機)
[12]○伊藤竜馬(橋本総業HD)6-4 6-3 [6]●田沼諒太(橋本総業HD)
[2]○添田豪(GODAI)6-2 6-4 [WC]●原﨑朝陽(ノア・テニスアカデミー神戸垂水)
男子シングルスドロー
予選ドロー

<<女子シングルス 3回戦>>
[1]○坂詰姫野(橋本総業HD)6-0 6-4 [16]●澤柳璃子(安藤証券)
[6]○西郷里奈(TEAM 自由が丘)7-6(5) 1-1ret. [11]●鮎川真奈(エームサービス)
[15] ○伊藤あおい(サリュートテニス専門学院)6-3 6-4 [3]●瀬間詠里花(橋本総業HD)
[9]○今西美晴(EMシステム)7-5 6-3 [7]●加治遥(島津製作所)
[8]○佐藤南帆(慶大)7-6(4) 4-6 6-4 [W)]●石井さやか(HSS)
[4]○桑田寛子(島津製作所)3-6 6-4 7-6(7) [13]●大前綾希子(島津製作所)
[5]○小堀桃子(橋本総業HD)6-4 6-4 [10]●今村咲(EMシステムズ)
[2]○細木咲良(原商)6-1 3-6 6-1 [14]●輿石亜佑美(フリー)
女子本戦ドロー
女子予選ドロー

賞金ブレークダウンなど
オーダー・オブ・プレー、ドローなど
試合はJTA テニス オンライン
決勝は NHKBS1で放送予定 10月29日女子決勝 10月30日男子決勝

記事:保坂明美 写真:鯉沼宣之/伊藤功巳