10月30日、「大正製薬リポビタン 全日本テニス選手権97th」男子シングルス決勝が行われ、第1シードの今井慎太郎(イカイ)が第4シードの関口周一(Team REC)を7-5 4-6 6-3で破り優勝した。

優勝が決まった瞬間、今井はコート上に倒れ込んだ。
表彰式後に、添田豪の引退セレモニーが行われたが、そこに訪れた錦織圭から
「おめでとう。
ガチガチだったね」
と今井は声をかけられたと言うが、
「そのとおりです。
気持ちだけは引かないように心がけた。
最後は、その部分でだけで戦い抜いた」と心境を話した。

<<男子シングルス 決勝>>
◎1)今井慎太郎 75 46 63 ●4)関口周一

29歳の今井にとってはこれが全日本シングルス12回目の挑戦。
ダブルスでは2018、2019年と仁木拓人(三菱電機) と組んで2年連続優勝をしている。
昨年はシングルスで初めて決勝に進出したが、清水悠太(三菱電機)に3-6 4-6で敗れた。
2年連続の決勝でのプレーだ。

31歳の関口は2016、2017、2018年と3年連続ベスト4になっているが、準決勝の壁を破れずにいた。
今回の準決勝では前日の準々決勝で引退表明していた添田豪(GODAI)を死闘の末に破ってきた伊藤竜馬(橋本総業)を6-4 6-4で下し、初めて決勝の舞台へと進んだ。

ともに初優勝をかけたこの決勝戦、今井のサービスキープで始まる。
一方の関口は0でサーブを落とす。
第3ゲームは35回のラリー戦などあるが今井が3−0とキープ。
 第5ゲームでブレークバックを許し3−3と競り合うが、再び今井がブレークを奪い第1セットを先取する。

第1セットを落とした関口だが、
「とにかくファイトする。
1ポイント1ポイント、ファイトしてプレーする」と鈴木貴男コーチとのテーマで戦い抜きセカンドセットを取り返した。

ファイナルセットへ突入。
お互いにメンタルのバトルになるが、序盤第2ゲームでブレークした今井。
5−3 、今井のサービング・フォア・ザ・マッチ、15-30。
関口のフォアのクロスはネットに撥ねられワイドになってしまい30-30に。惜しい関口のプレーだ。
今井は 7回目のラリーでフォアをダウンザラインに決めチャンピオンシップ・ポイントを握る。
関口の8回目のラリーはロングに。
コートに倒れ込む今井29歳が初優勝を飾った。

今井慎太郎 全日本勝利を決めた瞬間コートに倒れ込んだ photo Ito

『 賞金よりもこのタイトルが欲しかった。
大会期間中はそのことを考えないようにしたが。
実際に優勝できて、タイトルを獲得でき嬉しい。
人前では泣くなと教わってきたけど、今日は許して欲しい。
小さい頃からの、ここで優勝したいと思ってきた夢が実現した。
結果が出ない中、サポートしてくれた家族はじめ皆に。
ありがとう』と今井慎太郎。

優勝今井慎太郎 準優勝関口周一 photo Ito

添田豪引退セレモニー

錦織圭より花束を贈られる添田豪 photo Ito

「僕が17歳でプロになった時、添田さんは5歳上でした。
ずっと背中を追う存在であると同時にテニス界を引っ張ってくれた存在でした。
デビスカップやオリンピックなど一緒に戦えすごく楽しい時間と共に多くを学ばせてもらいました。
これからはデ杯監督としてテニス界を引っ張っていってくれます。
ジュニア選手も育っていますし、今日もこの二人の活躍もありました。
また、みんなをよろしくお願いします。
お疲れ様でした」
錦織圭から添田豪に送る言葉 YouTube (17:50 より錦織圭登場)

大正製薬リポビタン 全日本テニス選手権97th

男女シングルス 64ドロー、
トップ16シードの選手は2回戦からの出場。
男女シングルス優勝賞金 400万円。
副賞として優勝者と準優勝者には日本航空の往復チケットなどが贈られる。

<<男子シングルス 決勝>>
◎1)今井慎太郎(イカイ)75 46 63 ●4)関口周一(Team REC)

<<準決勝>>
◎1)今井慎太郎(イカイ)61 75 ●8)片山翔(伊予銀行)
◎4)関口周一(Team REC)64 64 ●12)伊藤竜馬(橋本総業)

<<準々決勝>>
◎1)今井慎太郎(イカイ)64 60 ●10)白石光(早大)
◎8)片山翔(伊予銀行)64 64 ●Q) 藤原智也(慶大)
◎4)関口周一(Team REC)36 75 62 ●7)川上倫平(橋本総業
◎12)伊藤竜馬(橋本総業)76(4) 76(5) ●2)添田豪(GODAI)

<<3回戦>>
◎1)今井慎太郎(イカイ)76(4) 64 ●楠原悠介(伊予銀行)
◎10)白石光(早大)63 63 ●5)望月勇希(エキスパートP)
◎Q)藤原智也(慶大)36 75 75 ●市川泰誠(ノアインドア)
◎8)片山翔(伊予銀行)61 62 ●9)山﨑純平(日清紡)
◎7)川上倫平(橋本総業)62 75 ●11)羽澤慎治(JCR)
◎4)関口周一(Team REC)36 63 64 ●仁木拓人(三菱電機)
◎12)伊藤竜馬(橋本総業)64 63 ●6)田沼諒太(橋本総業)
◎2)添田豪(GODAI)62 64 ●W)原﨑朝陽(ノアアカデミー)
男子シングルスドロー
予選ドロー

<<男子ダブルス 決勝>>
◎1)上杉海斗&松井俊英(江崎グリコ/APF) 63 64 ●4)仁木拓人&柚木武(三菱電機/イカイ)

ダブルス準優勝柚木武/仁木拓人 優勝松井俊英/上杉海斗
男子ダブルスドロー

賞金ブレークダウンなど
オーダー・オブ・プレー、ドローなど
見逃した試合は『JTA テニス オンライン』で視聴可能。
決勝は NHKBS1で生放送された。

記事:塚越亘/塚越景子 photo/鯉沼宣之/伊藤功巳/TennisJapan