11月19日、ATPチャレンジャーツアー「兵庫ノアチャレンジャー」がブルボンビーンズドーム(兵庫県・三木市)で開催され、ダブルス決勝、シングルス準決勝2試合が行われた。

ダブルスでは、羽澤慎治/清水悠太(JCRファーマ/三菱電機)が、アンドリュー・ハリス/ジョン・パトリック・スミス(AUS)に6-4 6-4のストレートで勝利し、チャレンジャー初優勝を飾った。

ジュニア時代から仲が良く、何度も組んできた2人は、拠点も同大会に隣接するテニスラボで練習を積んできた。高校卒業後、清水はプロ、羽澤は大学と、別々の道に進んだが、今年の4月、羽澤がプロ入り、直後に一緒に出場したタイ・チェンライのM15で、ダブルス優勝を果たしている。

「最近、試合中に相手の特徴や、気づいたことを話すようになってきた」(清水)という2人は、準決勝では松井俊英/上杉海斗に勝利し、昨年の全日本選手権決勝のリベンジを果たす。決勝でも、息の合ったプレーを見せ、相手が前に出てきたときは、詰め気味のハリスではなく、スミスの足元に沈めるなど、作戦を立てながら試合を進めた。

第1セットは先にブレークされるが、次のゲームでブレークバック。そして羽澤/清水の5−4となったスミスのサービスゲームをブレークして6−4で先取した。

要所を押さえたプレーで優勝までひた走った

第2セットでは、清水のサービスでブレークポイントを握られる場面があるも、左利きのサービスから展開して乗り切り、お互いキープが続いて5−4となる。続くハリスのサービスゲームでは、スミスのポーチにことごとく羽澤が反応してポイントを重ね、最後はネットへのプレッシャーで相手のミスを誘ってチャンピオンシップポイントを取り切った。

「まさか優勝できるとは思っていなかった。いいプレーができて、地元の皆さんの前で勝つことができてうれしい。(チャレンジャー)は失うものがなく、向かっていくだけなので、思い切りできる」という羽澤は、今大会、シングルスでもベスト8へ進出し、自信をつけた。

「昔から組んでいるので、サイドはどっちとか、どういうふうに普段やってるの?といった会話がなくても何をするのかがわかる。お互いシングルスをメインでやっているので、ダブルスではなおさら楽しもうと思って戦えるのがいい」と、清水も笑顔を見せる。

羽澤慎治/清水悠太

その言葉どおり、現在、2人がメインとしているのはシングルスだ。

「プロ入りして最初の2、3年でITFを抜けてチャレンジャーに定着したいというのが目標なのですが、もう少し勝って400位を切れば、そのレベルで戦っていけると思うので、来年はそこを目指してトライしていきたい」(羽澤)

「来週の四日市でひと踏ん張りして、来年もチャレンジャーで戦っていけるように頑張りたい。チャレンジャーには出られていても、うまいこと勝ち進めてない。日本人で勝っている選手もいるので、焦りがないことはないけど、いつか勝てる日がくると信じて戦っていきたい」(清水)

ダブルスの良い感覚がシングルスに良い影響を与えることもある。今シーズン最後の国際大会、四日市チャレンジャーへ向けて、2人は会場を後にした。

■動画■
羽澤慎治/清水悠太(JCRファーマ/三菱電機)vsアンドリュー・ハリス/ジョン・パトリック・スミス(AUS)

なお、第7シードの綿貫陽介(フリー)は、第1シードのクリストファー・オコネル(AUS)に6-4 7-6(8)で勝利し、決勝へ進出した。

「サーフェスやボールも含め、この大会ではいい結果が出る」という綿貫は、横浜チャレンジャー決勝で敗退したオコネルに対し、戦略的に試合を進める。

「彼は優位性を保つのがうまい選手なので、自分から先に展開するように、中に入るようにした」との言葉どおり、リターンやストロークで先に攻め、前へ行ってボレーでフィニッシュする場面が多く見られた。また、スライスサービスは、滑らせるサービスが有効なこのサーフェスを熟知した戦略と言える。

5月のリヨンで腰を故障、9月に韓国で捻挫をした際には、トレーニングを重点的に行った。プロ登録した時の体重は63kgだったが、今は73kgあり、体が大きくなった実感もあるそうだ。兄の敬介コーチと、ナショナルの高田充コーチとは、試合の良かった点、悪かった点をフィードバックしている。

結果を残してきた相性の良い場所で、体も心も良いコンディションだと言うが、綿貫は気を引き締める。

「相手も実力のある選手。緊張すると思うし、うまくいかない場面もあるかもしれないけど、勝利を目指し、1球1球頑張っていきたい」

3年前の19年、チャレンジャー初優勝した今大会で、再び栄冠を勝ち取ることはできるだろうか。

■動画■
綿貫陽介(フリー)vs クリストファー・オコネル(AUS)

■男子ダブルス決勝
◯羽澤慎治/清水悠太(JCRファーマ/三菱電機)6-4 6-4 ●アンドリュー・ハリス/ジョン・パトリック・スミス(AUS)

■男子シングルス準決勝
綿貫陽介(フリー)6-4 7-6(6) クリストファー・オコネル(AUS)
フェデリコ・フェレイラ・シルバ(POR) 6-4 3-6 6-3 ニノ・セルダルシッチ(CRO)

■11月20日のオーダー・オブ・プレー
12:00試合開始
綿貫陽介(フリー)vs フェデリコ・フェレイラ・シルバ(POR)

取材・写真/保坂明美